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2023-02-13 00:00
歴史の転換点を迎えた人類-ウクライナ紛争への懐疑
倉西 雅子
政治学者
ウクライナ紛争については、抑止面においても強力な手段となる核武装が、新たな局面を開く可能性があります。不法に核を保有するに至ったかの北朝鮮でさえ、軍事大国アメリカとの直接交渉を実現しており、核保有には、攻撃に対する抑止効果のみならず、当事国双方に対等の立場を与えるという意味において、交渉促進効果も期待されるからです。ところが、不思議なことに、ウクライナのゼレンスキー大統領は、NATO諸国に対して主力戦車では物足りず、戦闘機や長距離ミサイルの供与を求めながら、決して核兵器の供与を言い出しません。ウクライナ側も核兵器を保有すれば、ロシアとの間に‘核の平和’が実現する道も開ける可能性があるにも拘わらず・・・。その一方で、ウクライナを支援するNATO側も、同国に対する核の提供については口をつぐんでいます。各国政府もメディアも、ロシアの核使用のリスクには触れることはあっても、ウクライナの核武装という選択肢については、それが存在しないかのように無視しているのです。おそらく意図的な黙殺なのでしょうが、その背景には、核兵器国による核独占体制の現状維持が和平よりも優先されているという由々しき現状があるのでしょう。
ウクライナ紛争は‘茶番’ではないか、と疑う根拠は、こうした双方の不自然で非合理的な態度に見出すことができます。自由主義国のメディアは、ロシアのプーチン大統領を理性を失った狂人、あるいは、ヒトラーの如き常軌を逸した野心家のイメージで報じていますが、非合理性にかけてはゼレンスキー大統領も負けてはいません。否、NATO諸国の政治家やメディアを含めた辻褄の合わない行動や発言は、既にシナリオに記されていると解した方が、よほど説明が付くのです。そして、今般の関係諸国の態度からは、シナリオライターである世界権力は、自らの目的を達成するためには核の独占状態が必要不可欠、あるいは、同体制の維持が極めて有利と考えているものと推測されます。何故ならば、核兵器こそ、核兵器を保有する軍事大国にして国連常任理事国である五カ国のみならず、イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮、並びに、潜在的にはイランと行った諸国に特権を与え、他の非核兵器国をコントロールし得る物理的な手段となるからです。他者に優る圧倒的な物理的な力があれば、自らの意思を相手方に一方的に押しつけることができるのは、誰もが否定できない事実です。
同推測に基づけば、何れのアクター達も、核の独占体制、即ち、NPT体制が瓦解しないよう、用心深く行動していることとなります。たとえNATO側が主力戦車を提供しても、既に指摘されているようにロシアとの阿吽の呼吸のうちに‘勝ちすぎないようにほどほどに’闘うかもしれません。NATO側もロシア側も、NPT体制の‘体制派’なのですから。しかしながら、現在進行している事態の不自然さに多くの人々が気づき、懐疑的になった時、このシナリオにも綻びが生じるかもしれません。特に、民主主義国家において国民世論が和平を求めると共に、ウクライナのみならず自国の核保有を支持する方向に転じたときに、同シナリオには高い壁が立ちはだかることとなりましょう。全世界の諸国が主権国家としての独立性を回復し、各国の政府が国民のために働くようになったとき、それは、一つの勢力による世界支配の終焉を意味するからです。この点に鑑みれば、台湾有事が予測される今日、中国を抑止するために、日本国も核保有を真剣に検討すべきと言えましょう。
ロシアは、敗戦の淵に追い詰められたときには、核使用を厭わないと公言しています。この言葉、実のところは、世界権力の立場をロシアに言い代えているのかもしれません。全ての茶番や悪事が明るみに出て、世界権力が人類の敵と認識されてしまう、即ち、‘敗戦’に瀬戸際となった場合、ロシアに核ミサイルを撃たせて核戦争を引き起こし、人類を滅亡させてしまう計画を示唆しているかもしれないのです。もっとも、世界権力は極めて少数のメンバーで構成されていますので、同計画を発動させようとしても、末端の職務放棄や戦線離脱、あるいは、良心的拒否等により頓挫してしまう事態も大いにあり得ましょう。現時点ではどちらの方向に進むのか見極めが付かないのですが、今日、人類は、歴史的、かつ、構造的な転換点を迎えているように思えるのです。
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