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2022-10-05 00:00
(連載1)薄っぺらだった日中国交正常化50年の式典
岡本 裕明
海外事業経営者
1972年の日中国交正常化から50年を迎えました。この節目に様々な記念行事などの案が浮かんでは消えを繰り返し結局、事前の報道や告知も少なかったことで政治家など一部の人が形だけの式典を行うに留まりました。ペラペラのただやったという交際記録です。
両国は式典をそれぞれの国でセットし、岸田首相と習近平国家主席は祝電交換をしています。が、なぜ、この記念すべき節目に政治家だけが主導したのか、ここがそもそもの失敗だったかもしれません。日中関係は非常に厳しい問題が山積しています。が、それらの問題はどの視線で見るかによってかなり温度差があります。今回の形式的式典は一番厳しい関係にある政府同士が演出したイベントでした。その式典の壇上には日中関係改善を期待している経団連の戸倉会長がいます。経済的には中国に進出する日本企業は圧倒的に多く、状況改善を願う旗振り役を演じています。22年6月時点で中国に進出する日本企業は12700社あります。これには香港とマカオは入っていません。うち、上海にはおおよそ半分となる6000社があります。アメリカに進出している日本企業が全部で6700社程度であることを考えるとその進出ぶりは極めて大きく、日経新聞が社説で「正常化50年機に世界の中の日中関係探れ」と主張するのもビジネス的配慮からでありましょう。(ここは敢えて左派的とはいいません。)
もう一つの切り口、人の交流という点では日本には在日華僑が78万人程度おり、うち、永住者や配偶者など日本に長期的に在留している人は34万人ぐらいいます。今回、ここも盛り上がらなかったと思います。在日中国人と日本人社会が融合しないのです。
一方、中国にいる日本人は14万人程度でその大半は駐在員など一時滞在者であり、広い国土を考えると中国で日本人のコミュニティが盛り上がるような式典をするのは難しいでしょう。ちょっとしたイベントはあったと思いますが、コロナ制約もあり、極めて限定的です。(つづく)
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