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2022-09-28 00:00
(連載2)日本の金融・為替政策は世界の実験台
中村 仁
元全国紙記者
異次元緩和自体(ゼロ金利)がもう10年近く続き、「金融政策は短期的効果、財政政策は中長期な効果」という役割分担が消滅しています。おかしな発言です。財政政策に引きづられているから、金融政策は短期的に動けなくなっているのです。さらに総裁は「今回の決定は委員の全員一致で決めた」と、発言しました。この難しい時期において、多様な意見が出されることが合議制の意味です。総裁の意向に異論を唱える委員がいなかったとは寂しい。
英国中銀は米国に追随して、政策金利を0・5%引き上げ、保有する国債の市場売却を決めました。政策委員9人のうち5人が総裁の提案に賛成し、4人が反対しました。きわどい決定です。日本は反対ゼロで、「総裁、ごもっともごもっとも」だったのでしょう。異論なき議論は無意味です。「日銀は財政ファイナンス(財政資金の調達)を目的にしていない。国債買い入れはあくまで2%の物価安定目標を達成することだ」と、総裁は断言しました。これは明瞭なうそです。「アベノミクスの目的が円安誘導、財政ファイナンスにすり替わってきた」がもう常識です。
「2%の物価上昇目標」は、8月の2・8%上昇で達成されているのに、「コストプッシュ型の悪い物価上昇で、賃金上昇を伴う好循環が生まれていない」と、黒田総裁は逃げています。日本は物価上昇率が2、30年も「横ばいかマイナス」が続いてきました。資源高、円安で物価が2、3%上昇すれば、インフレを強く体感する人がほとんどでしょう。「さらなる円安誘導、財政ファイナンスの継続」が本当の目的になっていますから、金利を上げられないのです。
年初からでも1㌦=30円の円安、10年前と比べると、4、50円の円安です。「ドル建てGDPは30年ぶりに4兆㌦割れ、年末にはドイツが3位に上がり、日本は抜かれる」(OECD)そうです。政府、日銀がそろって日本の経済的な価値を自主的に引き下げている。朝日新聞は「ドル売り介入を実施し、『伝家の宝刀』を24年ぶりに抜いた」と表現しました。日経も「伝家の宝刀」でした。古臭く、無意味な言葉遣いです。(おわり)
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