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2022-09-27 00:00
(連載1)日本の金融・為替政策は世界の実験台
中村 仁
元全国紙記者
大規模金融緩和の継続と利上げ回避を日銀総裁が記者会見で発表中に、円は1㌦=146円を突破し、慌てた政府は24年ぶりの円買い介入を実施しました。140円台前半まで円は戻したものの、介入の効果は限定的なようです。鈴木財務大臣、黒田日銀総裁の会見を見ていると、異次元金融緩和と財政拡張政策を10年近く続けたため、身動きがとれなくなっており、口先だけの空威張りとの印象を受けます。 一斉に利上げに動いている米欧主要国とは正反対に、「孤高のゼロ金利を続ける日本の結末はどのようなものになるか」と興味深く見つめていることでしょう。「成功するのか惨敗するのか」の実験台として日本を見ているのです。
結論から申しますと、国債残高の半分を日銀が保有するという異常な状況、1000兆円を超える国債発行による財政危機から、どうやって正常化に向うのかというシナリオを早く示すことです。そうした長期戦略がない、描かずという日本の悪弊から抜け出すことです。 日銀が異常な金融緩和の継続(円安要因)を続ける一方、政府が円安阻止の為替介入をすると自体が矛盾した対応です。利上げと為替介入をセットにして市場の流れを変えるのが本来のやり方です。それをしないから、市場に足元を見破られ、また円安に戻ると市場は見ています。
鈴木財務大臣はおかしな発言をしました。「日銀の政策には日銀の独立性があり、尊重しなければならない」と。「日銀の独立性」はアベノミクスによってとっくに消失し、「政府と日銀の協調」という名のもとに、実質的には日銀は政府の意向に逆らえない。独立性なんかないのです。
黒田総裁の発言にも、首を傾げる場面がいくつもあります。金融政策先行き指針(フォワードガンダンス)は「2、3年、変えない」、つまり利上げは2、3年しない。一方、米国の政策金利は年末に4%台後半、23年には5%台に到達する。日米金利格差はさらに広がり5%(円安要因)となります。金融政策は経済状況に応じ、短期的に動かす道具です。それを「2、3年動かさない」と言い切ってしまった。「日米金利格差は2、3年は縮まらないから、どうぞ円安にかけてください」といったも同然です。(つづく)
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