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2022-09-22 00:00
中国本土版IPEFについて
真田 幸光
大学教員
中国本土は、米英の世界標準に従わず、「中国語、人民元、中国法、中国のモノづくり基準、中国の会計基準」の下で、世界経済に参画しようとしてきていると見る米英は、「中国本土は価値観の共有が出来ない国である」と規定、その中国本土を包囲することを目的にQUADと共に、IPEFも発動し、対中包囲網を強化していると見ておくべきではないかと思います。
そして、こうした米英の戦略は効果を上げるのではないかとも期待されていますが、中国本土もこれに負けじと、上海協力機構を拡大し、スリランカやバングラ、パキスタン、イランなどを取り込みながら中国本土版軍事連携をロシアをも取り込みながら強化してくる可能性が出てきています。更に、中国本土は、ベネズエラ、ペルー、チリ、南太平洋諸国、ラオス、カンボジア、ミャンマー、そしてスリランカ、バングラ、パキスタン、イランを上手に取り込みながら、資源、エネルギー網を構築し、実体経済を結ぶ経済連携を中国本土版IPEFとして構築しようとしているとも見られています。
こうした中、南米・コロンビアでは左派政権が誕生しました。即ち、ゲリラ出身で首都・ボゴタ市長などを歴任したペトロ氏が当選、既得権益層と庶民の経済格差が拡大し、抗議デモなども多発、これまでの政権は、弱者を見捨てているとの不満まで起こり治安悪化が顕在化する中、弱者の立場に焦点を充て、富裕層に増税すると明言したペトロ政権が誕生したことはまた、コロンビアのアメリカとの関係悪化に繋がる一方、そのアメリカとの対立の構図が深まるベネズエラとの関係改善を目指すとも見られ始め、こうした状況下で、中国本土がコロンビアにも食い込んでくるのではないか?との見方も出てきています。
更に、債務危機に瀕し、庶民の不満爆発を恐れて海外逃避したスリランカのラジャパクサ前大統領は、中国本土の経済支援を背景にして、市民革命によって、リーダーシップを取る者がいないというスリランカの情勢を睨み、もう一度、スリランカに戻り、中国本土を後ろ盾としたスリランカ再生に動くのではないかとの見方もまた同時に出てきています。こうした現状を見ていると、米英が思い描くほど、「対中包囲網の効果」は上がってこない危険性も私たちは意識しておかなくてはならないかもしれません。慎重な現状認識がこれまで以上に必要な時代になりました。
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