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2022-09-13 00:00
(連載2)日銀奏でる「日本円の葬送行進曲」
中村 仁
元全国紙記者
これほど無責任なことがあるのでしょうか。「これまでやってきた財政金融政策(アベノミクス)の誤りがあまりにも大きく、動くに動けない」、「金利を上げると、国債費(利子負担)が増え、財政危機が悪化する」、「日銀も債務超過に向かう恐れがあり、円の信認が失われる」。多くの外部の識者はそう想像しています。 国が救済に乗り出そうとしても、国債で資金を調達するしかない。国債をまるまる買いに回っていた日銀にはそんな体力はありません。政府、日銀は堂々巡りの状況に自ら追い込んだきたのです。
途上国がやっているように、高金利の国債を出せば買い手がつくかもしれない。買うのは中国でしょうか。安倍、岸田政権の中国敵視政策からすると、それはできない。だから「どうするか」と国民は聞きたい。
米FRBの金融政策は、政権からの自由、独立、中立を保っています。日本はアベノミクスの導入の際、日銀を政府と一体の存在に変えたので、独自の判断では動けない。安倍・元首相は「日銀は政府の子会社」と本音を吐いた。それなら「最後は政府が責任をとる。このようにとる」というべきでした。それなら政府、日銀が一体になって、財政、金融政策の出口を構築し、まず明らかにすればいい。それをしない。岸田政権は「新しい資本主義」と持ち歌にしている。その前に財政、金融政策の出口論があるべきなのに、それがない「新しい資本主義」とは何なのか。
主要国では金利引き上げで金融正常化を目指す一方、「米FRBは繰り延べ税金資産を計上する」、「ECB(欧州中銀)は中央銀行の財務の健全性の維持を重視する」、「独は国庫納付金を20年度からゼロにした」」など対策を考えています。日本は主要国最悪なのに、出口論は封印されたままです。海外からエコノミストが来日すると「財政再建について日本はどのような議論が行われているか」と聞く。伊藤元重・東大名誉教授は「そういえば、最近、その議論がほどんどない」と指摘します。情けないことです。(おわり)
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