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2022-08-31 00:00
立憲民主党は「保守二大政党路線」を明確に掲げるべきだ
日野 智貴
立憲民主党党員
「立憲民主党は対決路線か、それとも提案路線か」――マスコミは常に立憲民主党のことをこうした図式で報道する。だが、それは立憲民主党内部の路線対立を踏まえたものかと言うと、恐らくそうでは無い。しばしば「対決路線」と言われる枝野幸男前代表も政府に「提案」することはあったし、また「提案路線」と言われる泉健太代表も政府と「対決」することはあった。私は立憲民主党の一介の一般党員に過ぎないが、立憲民主党の国政公認候補の後援会事務局長や党の青年組織の副代表等を経験させていただいた。その私の肌感覚でも、党内に「対決か、提案か」という路線対立があるようには感じない。むしろ立憲民主党内部で問題となっているのは「保守二大政党制」を目指すのか、それとも「保革二大政党制」を目指すのか、という路線対立であろう。イデオロギー対決を避けたい人間も一定数所属しているので中々表面化はしないが、明らかに国会議員から一般党員までこの二つの路線を軸に立憲民主党は揺れ動いている。
そもそも多くの方が勘違いしているが、今の立憲民主党は決して2017年に結成された政党ではない。2017年に結成したリベラル政党である旧立憲民主党は、2020年に保守政党である旧国民民主党と「対等合併」して今の立憲民主党となった。私も元々は旧国民民主党の党員である。そして、2021年の立憲民主党代表選挙では旧国民民主党の泉健太が国会議員票でも党員・協力党員票でも最多で選出された。つまり、立憲民主党は国会議員から一般党員まで「保守派」を選んだのである。ならば、目指す方向性は決まっている。多くの党員が望んでいる「保守路線」を選択するべきだ。無論、それは「リベラル排除」を意味はしない。自民党は保守政党でありながらリベラル派も取り込む「国民政党」として成長してきた。立憲民主党も同様の「国民政党」になるべきなのだ。その自民党が、今では急速に「左傾化」していることも、立憲民主党が警戒すべき点である。
思想面で言うと、2021年の自民党総裁選では国会議員票は岸田文雄が1位、党員・党友票は河野太郎が1位となったことがある。岸田文雄も河野太郎も自民党左派の名門派閥である宏池会の出身だ(河野は宏池会の分派の志公会)。岸田文雄が泉健太よりも明確に右である、と断言できる人は少ないであろう。況してや河野太郎は完全にリベラル派である。国会議員から一般党員まで左派を支持する今の自民党は、マスコミ報道の印象に反して、ある意味では立憲民主党よりも保守色が薄くなっているとさえ言える。さらに重要なのが、選挙戦略面である。私は安倍晋三も思想的には保守主義者と言い難かったと考えてはいるが、安倍が保守票を獲得しようとしていたのは事実だ。しかし、岸田が獲得しようとしているのはむしろ「リベラル票」である。
特に立憲民主党の支持母体である連合と自民党の接近は象徴的だ。岸田は明らかに立憲民主党の従来の支持母体を奪おうとしている。なお、連合と自民党の接近について「同盟系労組が自民党と接近している」と評価する者もいるが、それは一面だけを捉えたものである。例えば、今年3月の連合の芳野友子会長と自民党の麻生太郎副総裁の会食には日教組出身の連合事務局長である清水秀行が関わっており、自治労だけでなく同盟系のゼンセン同盟からも反発が来たと言う報道がある(毎日新聞デジタル2022/4/29 17:00「会長選び混迷、消去法で芳野氏に」)。また、連合は公明党公認候補に推薦を出すなどしており、リベラル色の強い公明党が連合と自民党の接近を仲介しているとも考えられる。岸田文雄が選択的夫婦別姓推進派であることも大きなポイントだ。反対派の高市早苗が自民党の政策を決める役職である政調会長であったため前面には出なかったが、夫婦別姓推進議連には100人以上の自民党議員が参加している。連立与党の公明党や自民党に近い日本維新の会も選択的夫婦別姓には賛成であり、立憲民主党ら野党共闘陣営が「選択的夫婦別姓」を争点にしても勝てなかったのは、当然のことである。与党にも賛同者が多い政策を推進するために野党へ投票する意味は無いからだ。高市早苗が政調会長を外れたことにより、岸田自民党は今後本格的に「リベラル票を奪える」政策を打ち出していくだろう。そうなった時、立憲民主党が多くの党員の意向をも無視して「リベラル派重視、保守派軽視」の立場となれば、今以上の大惨敗を期することは、間違いない。
私は共産党や社民党との共闘には反対ではない。だが、そもそも論として共産党や社民党と共闘するのであれば、共産党や社民党の票を奪う訳にはいかない。そんなことをすれば両党との信頼関係は瞬く間に消滅し、共闘は不成立となる。つまり、立憲民主党は野党共闘を目指しているからこそ、新たにリベラル票を獲得する余地は無いのである。しかも、今あるリベラル票も自民党が虎視眈々と狙っている。そして、党員の多くは保守路線を望んでいる。ならば、道は一つしかない。保守票を獲得しに行くことである。そのためには保守派の支持基盤である農林水産業や中小零細企業の経営者向けの政策を掲げることは勿論だが、それだけでは選挙戦略としては弱い。大衆は小難しい思想や政策よりも「判りやすさ」を求めているからだ。旧国民民主党は記者会見や党のイベントで日の丸を掲げる等して保守派の浸透を図っていた。立憲民主党も党の大会で国旗掲揚・国歌斉唱・皇居遥拝ぐらいしてはどうか。執行部が毎年伊勢神宮に集団参拝している立憲民主党である。日の丸を掲げて「天皇陛下万歳!」と一言いうだけで、自民党の左傾化に不満を持っている保守票を相当数獲得できるであろう。
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