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2022-08-23 00:00
(連載1)追悼:戦略的思考を貫いた大宰相・安倍晋三
長島 昭久
衆議院議員
安倍晋三元総理が凶弾に斃れてから一か月というもの、途轍もない喪失感をどうすることもできません。安倍さんとの出会いは国会議員2期目の終わりころ。当時は政党が異なっていたこともあり遠くから眺めるばかりでしたが、ある時、ワシントン留学時代からご指導いただいてきた岡崎久彦元駐タイ大使からお声を掛けていただき外交の勉強会でご一緒することになりました。
ちょうど民主党政権が誕生する前の春ごろだったと思います。当時の安倍さんは雌伏の時にありましたが、日米同盟や対中戦略について非常に鋭く広い視野から縦横に語っておられたのが強く印象に残っています。私も、岡崎門下生の端くれとしての自負もあり、ずいぶんと生意気に議論を吹っかけていましたが、今となっては恥じ入るばかりです。そんな岡崎大使との関係に沿って、安倍さんの戦略的思考について振り返ってみたいと思います。
勉強会での議論の最大の焦点は、台頭著しい中国とどう向き合うべきか。それに対する安倍さんの戦略的思考は明快でした。まず、基軸である日米同盟を強化して外交・安全保障の足場を固める。その上で、太平洋の南に位置する豪州とマラッカ海峡で繋がるインド洋を臨むインドとの連携を進め安全保障のダイヤモンド(日米豪印)で戦略的土台を補強する。
これは、第一次政権の2007年、インド国会で行った「二つの海の交わり」演説で描いた構想ですが、後にQUADとして結実します。その上で、ユーラシアにおける中露二大国の分断を図り、中国との間に戦略的互恵関係を築いてインド太平洋地域に平和と安定を確立するというものです。(つづく)
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