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2022-07-29 00:00
政治と宗教、議論冷静に
荒木 和博
拓殖大学海外事情研究所教授
安倍元総理を襲撃した人物が旧統一教会への強い敵意を持っていたことから、「誰々は統一教会」と関係があるとか、「いや私は関係ない」とか、ちょっとした騒ぎになっています。何か滑稽にも見えますが、大なり小なり選挙のときに支援を受けていた政治家は保守系の人なら少なくないのではないでしょうか。私がかつて所属した民社党でも支援を受けた議員は何人もいました。
統一教会と強い結びつきのあった国際勝共連合の主張はその名の通り反共産主義でした(入ってくる人も統一教会から来る人と反共ということで来る人と両方いたと聞いています)。その点は反共が一つの看板であった民社党とも通じるところがありました。当時勝共連合の支援のもとに作られた映画「鳥よ翼を貸して」や「黒猫を追え」などは秀作だったと思います。スパイ防止法制定の運動も、「勝共がやっている」ということで逆にブレーキがかかった面がありますが、今日の状況を考えるとそれ自体は間違いではなかったと言えるでしょう。
統一教会の勧誘や信者の扱いなどについて、様々な問題があったことはすでに色々なところで報じられていますが、民社党当時、それも含め認めていたかと言えばそうではありませんでした。この点は自民党の方々や他の保守系の方々も同様だと思います。もちろん犯罪的な行為があれば厳正に裁かれるべきですが、何か宗教団体と関係があったからすべてけしからんなどと言い始めたら、公明党はどうなるのか。また、創価学会以外の新宗教の団体が集まっている新宗連には野党でも支援を受けている議員は何人もいます。宗教団体にとって布教も献金も必要不可欠ですから、中には統一教会とまではいかなくても同様の問題を抱えているところもあるのではないでしょうか。
ちなみにうちのお寺は曹洞宗ですが、曹洞宗は中心部は結構左傾化しているようで拉致問題には関心を示してくれません。伝統仏教は大なり小なりそんな傾向があるようです。しかし仏教であれ神道であれキリスト教であれ個別に大変熱心に拉致問題に取り組んでくれている方々は多数おられます。新宗連は仙台を本拠とする大和教団の保積秀胤教主が理事長だったとき、特に熱心に拉致問題に取り組んで下さいました。宗教というのは最後は個人の心の問題なので、オウム真理教がやったような犯罪は別として外部の人間が全て自分の常識だけで判断することはできないはずです。文字通り「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」式の議論はすべきではないと思います。
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