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2022-07-07 00:00
(連載2)対露制裁が米ドル基軸体制を衰退させる可能性について
真田 幸光
大学教員
こうした見立てがあるために、米ドル基軸で儲ける仕組みを今のところ確立している国際金融筋は、ロシアを攻め立てることでこれ以上ルーブル決済が広がることを懸念し始めています。従って、英米に対してロシアとの停戦に向けた動きを示すよう水面下では要請し始めているという観測もあります。
このように、米英が中露、特にロシアに対して金融制裁を強化する中、「中国本土の人民元とロシアのルーブルの取引が爆発的に増加しており、特に人民元の成長が著しい」と米国の大手メディアであるブルームバーグが報じました。その内容を抜粋、列挙すると以下のようになります。
(1) 米英の制裁が人民元・ルーブル取引を1,067%引き上げた。
(2) ロシアと中国本土の通貨間の取引高は40億米ドル近くになった。各国は米国の制裁から経済を守ろうとしている。
(3) 米国の覇権に対する最大の挑戦者である中国本土とロシアは、自国通貨間の直接取引を強化している。
(4) 「ルーブル・人民元」ペアの月間取引高は、ウクライナでの戦争開始以来、1,067%急増して約40億米ドルに達しており、中露両国は米ドルへの依存を減らし、現在及び潜在的な米国の制裁を克服する為に二国間貿易を強化しようとしている。
(5) こうした急上昇は、人民元に対するルーブルの5年ぶりの高値への上昇と一致している。これはロシア人が、ますます中国本土製品に目を向けている兆候とも言える。中国本土にとっては、人民元の国際化の為の後押しをむしろ受けているとも解釈できる。
(6) これは、制裁の懸念と、二国間貿易における国内通貨の使用を奨励するロシアと中国本土の意図によるものである。
このような、メディアのコメントが意味するところは、英米の制裁がむしろ中露にメリットを与えているとの見方であり、冒頭に私が示した懸念が顕在化していることの表れであるとも言えます。制裁にも更に深い知恵が必要な情勢のようであります。(おわり)
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