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2022-06-29 00:00
(連載1)不十分な岸田内閣’一億総株主’政策のリスク説明
倉西 雅子
政治学者
参議院議員通常選挙を来月に控え、岸田内閣が発足に際して打ち出した’新しい資本主義’を実現する具体策として、’一億総株主’の方針が示されました。この方針、すこぶる国民には評判が悪く、岸田内閣の支持率が下落に転じた要因の一つもここにあるのかもしれません。政府の説明によれば、全国民が株主になれば、国民所得も増加し、経済も成長し、凡そ全ての経済問題が解決することになるのですが、何故、国民から支持を得ることができないのでしょうか。
国民の政策、あるいは、政府説明に対する不信感の問題は、今般の’一億総株主’政策に限ったことではありません。また、国政レベルのみならず、地方自治体レベルでもしばしば見受けられます。考えてもみますと、あらゆる分野において以前から長期にわたって燻っていた政治問題の一つとも言えましょう。
例えば、今般の’一億総株主’政策について、政府は、国民に対して’最も成功したケース’を描いて説明しています。それは、’国民が預金から投資へと金融行動を変えれば、企業は資金調達が容易となり、新たな成長分野における事業展開が可能となる。その結果、株主である国民は配当所得を得ると共に、企業業績の回復により給与所得もアップする’というものです。まさに、このシナリオが実現すれば、「成長と分配の好循環」が生まれ、国も国民も喜ぶことでしょう。
しかしながら、ここで一歩、立ち止まってみる必要があるかもしれません。何故ならば、投資詐欺事件にありましても、詐欺を試みようとする側が、同様の説明をするケースがしばしばあるからです。もちろん、全く架空の投資話を持ち掛ける悪質なタイプもありますが、そうではなく、’最も成功したケース’についてのみ紹介説明するタイプもあり、岸田内科区の主張は後者に近いものを感じるのです。後者のようなことをする金融事業者は、たとえ、現実にはその成功率が1%であったとしても、あたかも、99%の確率で期待どおりの収益を手にできるかのように話すのです。結局、’最も成功したケース’に比べれば、失敗するリスクの方が遥かに高いのですが、言葉巧みに誘導されてしまった顧客は、大きく期待を裏切られ、多くの場合損失を被ってしまうのです。(つづく)
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