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2022-06-29 00:00
(連載2)フランス下院選挙にみる不調和
岡本 裕明
海外事業経営者
今回、国民の声が割れた理由は物価高であることは間違いありません。私は、選挙は内政・国内問題が主体で外交はポイントにならず、としばしば申し上げているその通りの結果になっています。そして右派、左派ともに親ロシアというよりNATOへの疑問を持っています。もともとマクロン大統領もウクライナ問題については腰が引けている「停戦講和」派でありますが、渋々、国際世論に足並みをそろえるふりをするというスタンスにあります。
なぜ、マクロン氏が欧州外交で足並みをそろえる役割を演じなくてはいけないか、といえば今回のウクライナの紛争で欧州の結束に明らかなひびが入ってきているからです。地政学的なスタンスの違いやハンガリー、トルコなどの独自路線が欧州のバランスに不安定感をきたしています。そして、それを修正できるような、例えばドイツのメルケル前首相のような強いリーダーシップを持つ人も不在だということです。マクロン氏は消去法的に欧州外交の顔役の一人になっていますが、とてもじゃないが引っ張り切れないというところではないかと思います。
とりもなおさず、国民の声を取りまとめ強いフランスを築くベクトルを形成できなかったことで国民はより自己保身的な姿勢を強めたのでしょう。それゆえ、バゲットやチーズの価格により敏感になり、ウクライナ問題より赤ワインの確保になっているように見えるのです。近視眼的な声が大きくなるということは国民のストレスが溜まってきているということであり、それは外交より内政を重視しないと自らの基盤がより弱体化するともいえるのです。
私は欧州は今後10年ぐらいは不安定な時期となるとみています。リーダー無き巨大連合EUは理念で構成国を押し通せるのか、自国の利害関係がより優先されるのか次第ではその行方すら占うことは難しいかもしれません。少なくともウクライナ問題は欧州のメンタルの繊細な部分に微妙な亀裂を生んだとみています。ウクライナ問題の終結のさせ方次第ではロシアを相手にしているどころではなく、欧州そのものがぎくしゃくしてしまうことになりかねないとみています。(おわり)
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