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2007-09-19 00:00
新しい成熟した日中関係のあり方
上田勇
衆議院議員
8月末に北京で行われたDaily China・北京大学・言論NPO共催の「第3回北京・東京フォーラム」に参加し、日中両国の政治、学界、マスコミ、経済関係者らと幅広い課題について意見交換を行いました。また、北京大学では学生との質疑応答も含めたパネルディスカッションを行いました。同フォーラムは、日中政治関係が悪化していた2005年8月に第1回会議が北京で開催されて以来、毎年この時期に北京・東京で交互に開催されています。東京で開かれた第2回会議では安倍官房長官(当時)が関係改善を志向した講演を行い、それが総理就任後の電撃的な訪中による関係改善の伏線になったとも言われています。
今回フォーラムで発言した、中国政府・マスコミが対日関係に相当配慮していること、その影響を受けて中国国民(少なくとも有識者)が日中友好を大切にしているという姿勢を強く感じました。こうした傾向は大きな改善であり、当然のことながらわが国にとって歓迎すべきことです。ただし、こうした変化が、政府主導の世論形成による一時的で表面的なものなのか、あるいは永続的で本質的なものなのかは見極めがつきませんでした。あれほど激しかった反日デモからまだたった2年しか経っていないのに、感情がこれほど劇的に変質するものなのか疑問に感じます。
長い間、中国の指導者は「愛国」を国民結束の機軸と位置づけて、具体的には「反日」カードを統治の便法として使ってきたと思われます。こうした考えが教育に反映され、中国国民の心に深く根ざしているのではないでしょうか。それが、政策変更だけでにわかに変化すると考えるのは楽観的すぎるのではないでしょうか。
一方、わが国の国民感情にも、政治的のみならず経済的にもプレゼンスが急拡大した隣国との関係がどうあるべきか戸惑いがあります。それが何かのきっかけで「反中」、「嫌中」感情として強く現れることがあります。一部の政治家やジャーナリストがこうした不安定な感情を利用して、「対中毅然」の姿勢をことさらに示すことで世論の支持を得てきた面を否定できません。
日中双方の国益にとって、両国関係が永続的に良好かつ安定することが必要です。現在の関係改善の傾向を永続させて、両国民の感情を本質的に改善していく取り組みが必要です。両国の指導者とも、その時々の情勢に応じて反日/反中感情の濫用を卒業して、長期的な国益の観点に立った、新しい成熟した関係構築を志向することが求められていると感じます。
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