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2022-06-03 00:00
(連載2)米大統領の日本の常任理事国入り支持の真意とは
倉西 雅子
政治学者
ロシアが自国の除外を機に中国と共にブロックを形成するとなりますと、世界は、アメリカブロック(クワッド+欧州?)と中露ブロックとに凡そ二分割されることとなりましょう。あるいは、ロシアと中国が別個に自国を中心としたブロックを構築するとしますと、世界は3分割され、オーウェルが描いた『1984年』の世界に近づいてゆきます。何れにしましても、グローバル化の流れにあった国際社会は逆走するのです。
そして第4の解釈は、常任理事国入りという表現を以って、アメリカが、日本国の核保有を認めたというものです。常任理事国には、事実上の拒否権が付与されているため、国連改革の議論は同権利をめぐるものが主流となるのですが、常任理事国は、同時に核保有国であるという共通点があります。’世界の警察官’を務める以上、’素行の悪い’他の加盟国に優る物理的強制力を備える必要性が、同特権を正当化してきたのです。この構図に従うならば、常任理事国入りと同時に、日本国は、核保有国となる可能性が認められるのです。
もっとも、NPTにあっては、常任理事国のみに核保有を認めるとする条文はなく、第9条3において核保有国を「1967年1月1日前に核兵器その他の核爆発装置を製造しかつ爆発させた国」として定義しています。この定義に従えば、NPT体制が存続する限り、日本国が常任理事国入りしても、核保有国となるのは困難となりましょう。また、仮に日本国が常任理事国となった場合には、国際社会に対する重い責任を伴いますので、日本国側としても、慎重な対応を迫られます。
以上に、主要な解釈について述べてきましたが、解釈が多岐にわたりますと、発言者の真意がわからなくなり、誤った対応をとりかねません。この観点からしますと、同発言は、日本国政府がバイデン大統領に対して詳細な説明を求める機会ともなりましょう。そして、この説明要求は、日本国政府が、アメリカに対して自国の意向を伝えたり、代替案を示したりするチャンスともなるかもしれません。何と申しましても、今後の国際社会の在り方を考えた場合、国連における特権的な常任理事国というポストやNPT体制の存続の如何も問題となるのですから。常任理事国入りの後押しは、日本国にとりましては‘ありがた迷惑’となるかもしれず、何れにしましても、バイデン大統領の発言の真意だけは確認しておくべきではないかと思うのです。(おわり)
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