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2007-09-14 00:00
日台研究機関間の対話
大河原良雄
世界平和研究所理事長
財団法人世界平和研究所は6年前から年1回、台湾の欧亜中華基金会と共催で日台フォーラムと称する日台間対話を行ってきたが、今年は第6回のフォーラムを東京で9月4、5両日に開催した。昨年までは、アジア情勢とか中国情勢といった東アジア地域の問題をとり上げての会議であったが、今回は「日台関係の現状と展望」を主たるテーマとして、両岸関係の状況、日台間の交流促進方策等が討議の対象とされた。
台湾では来年1月に立法院議員選挙、3月に総統選挙が行われるが、現在野党の国民党は馬英九党首の下に政権の奪取を狙っており、謝長廷元行政院長を候補者とする民進党は楽観を許されぬといわれ、総統選の結果如何によっては両岸関係に中国寄りの変化がもたらされる可能性があるという。最近の極めて活発な貿易及び投資の増加振りからみて仮に国民党政権となった場合、両岸経済の一体化は更に進むものとみられ、これによる台湾経済の空洞化を警戒する声もみられるという。
現在、台湾の最重点の外交活動は台湾という国名での国連加盟であるが、国連加盟申請書に対して7月に播基文国連事務総長がこれを却下したのは、事務総長の越権行為として台湾側はこれを非難し、明年の総統選挙の際に住民投票に付するとの姿勢をとっている。米国は台湾の国連加盟に反対の立場を明らかにしているが(日本は支持しないとの立場)、台湾側はブッシュ政権の最近の台湾に対する姿勢は極めて冷たく且つ厳しいものであり、中国が米中関係の緊密化を背景に米国を通じて台湾に圧力をかけているとの観方を示している。
昨年の台湾における主要国に対する好感度に関する世論調査では日本35%、米国32.3%、韓国10.5%、中国8.6%となっており、米国との間にすき間風が吹いているという状況を背景として、日本に対する期待が強まっているとのことである。
台湾からは日本に対してFTAの締結が求められ、それが無理な場合、先ず投資協定をという要望が強いが、日本側は軽々には応じられないとの立場をとっている。今回の会議では、自由民主主義が確立されており、日本に対する期待が強い台湾との関係を見直し、差し支えのない範囲で文化、学術、科学技術等の分野での交流の活発化をはかるべきではないかとの空気が強かった。今後ともトラック2的な対話の場の活用を考えていきたいものである。
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