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2022-05-26 00:00
ミサイルとパレードしかない金正恩
荒木 和博
拓殖大学海外事情研究所教授
北朝鮮は今月上旬にミサイルを撃ちましたが、また日本でQUAD会合が開催されたのを見計らったように撃ちました。タイミングをまともに考えればこんなことをやればやるほど総体としての軍事力は弱くなるはずで、およそ軍事的合理性によるものとは思えません。
4月25日のパレードも同様で、北朝鮮から脱北した知識人で作る韓国の「NK知識人連帯」の金興光代表は「平壌市行事総局で、補給業務を担当した友人の話では、パレード1回につき、平壌市民の1年分の食料を買えるほどの金が必要になるという。ドルに換算すれば、120万ドルを上回る金額だ。そこに、パレードに参加する軍人の儀礼衣装、付属品、食料、燃料、生活必需品まで考慮すれば、200万ドル以上の支出になる」(5月1日JBpress)と書いています。膨大な支出で国民に大変な負担をかけるパレードをなぜするのか。金代表は「金日成(キム・イルソン)主席や金正日(キム・ジョンイル)総書記も、厳しい状況であればあるほど、軍事パレードを頻繁に開催した。住民に派手な殺人兵器や着飾った軍人を見せつけることで、体制に対する抵抗と不満を抑え込んでいたわけだ。200万人の餓死者を出した、90年代後半の忌まわしい「苦難の行軍」の時でさえ、金正日氏は何度も大規模な軍事パレードを実施し、統治者の力を住民に刻印した」と同じ記事で書いています。
ミサイルには外貨稼ぎや米国との交渉材料とか別の理由もあるのでしょうが、国際的にほとんど影響を与えていない最近の乱射からすると、これまた内部向けの理由が大きいように思えてなりません。日本としては、撃ったミサイルそのものに注目して射程が伸びたとか軌道がどうだとか大騒ぎするだけではなく、「どうして撃たなければならないのか」という金正恩の置かれた状況と思考についてもよく分析したほうが良いのではないでしょうか。
プーチンが軍を動かしたのを見て元気づけられているのかもしれませんが、同じミサイルを撃つでも大国のロシアと世界最貧国のひとつの北朝鮮では全く異なり、最近露朝両国でそれぞれ行われた軍事パレードひとつとっても同様です。ロシアは多少無理をすることができていますが、北朝鮮はいまや到底戦争などできなくなっているのですから「ミサイルとパレードならできる金正恩」なのかもしれません。
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