ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2022-05-25 00:00
(連載2)中国経済減速は「中国経済の正常化」
中村 仁
元全国紙記者
日経の2面に「ロシア経済のモノ不足が深刻」という記事が載っています。「米欧の経済制裁で自動車部品の輸入が止まり、4月の新車販売が8割減少した」「半導体や化学品の禁輸措置は、兵器からオフィス用品まで生産現場を直撃している」と。ウクライナ戦争ではっきりしたのは、「ロシアは軍事大国であっても、経済小国である。経済面から侵略を後押しすべき継戦能力が低下している」ということでしょう。経済が停滞すれば、国民生活への影響も深刻になり、世論も戦争反対の声が強まっていく。
このことは中国にもあてはまります。日経は「中国経済失速の影響注視を」(17日)という社説で、「上海の都市封鎖などで、上海港は物流が滞っている」、「中国の成長目標5・5%前後の達成は容易ではなく、日本経済への影響も避けられない」と、心配しています。経済や景気のことになると、「対中輸出が減る」、「中国からの部品輸入に支障がでる」とか、メディアは目先のことばかりに気を奪われています。中国がこれまでのようなペースで成長を続けたら、軍事力もどんどん強化される。経済減速、失速は西側にとって歓迎すべきことです。中国当局にとっての「中国経済の失速」は、西側にとっては「中国経済の正常化」という側面があると思います。
さらにロシアのウクライナ侵略とそれに対する経済制裁、中国の外交姿勢を見て、「グローバリゼーションの時代(地球大の相互依存の時代)は終わった」という指摘が強まっています。民主主義国家対専制主義国家と、グローバリゼーションが「二分」されるのか。「二分」とはいかなくても、日米欧中心と、中露を軸に結束するグループにどこまで分かれていくのか。とにかく「分断の時代」に入っていく。
「経済の相互依存が深まれば、国家間の対立が消えていくという時代」から、「経済の相互依存は国家の安全保障にとってリスクとなる時代」に劇的に転換してしまったともいえる。多くの有力企業はロシアから撤退しているばかりでなく、中国の供給網への依存も修正しようとしています。目先の混乱に目を奪われず、「中国経済の減速は中国の正常化」という視点がほしいのです。(おわり)
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム