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2022-05-21 00:00
(連載2)北欧二国NATO加盟、別の道はないのか
倉西 雅子
政治学者
北欧二国のNATO加盟表明に対しては、ロシアが報復を示唆するなど攻撃的な反応を見せており、事態がエスカレートする展開も予測されます。むしろ、危機が増幅される可能性も否定はできなくなるのですが、第三次世界大戦、あるいは、核戦争の回避という目的に照らせば、北欧二国は、別の方法を模索すべきかもしれません。
この目的のために最も望ましいのは、NATO加盟による‘核の傘’の獲得ではなく、同盟なき核武装、すなわち、北欧二国が単独で核を保有することなのでしょう(非同盟核武装中立政策)。同政策でも、ロシアによる核兵器の先制使用のリスクを100%防ぐことはできないにせよ、北欧二国とロシアとの間に武力衝突が発生していない現状にあっては、同状態を平和裏に維持することはできます(ロシアは、両国を攻撃する根拠がない)。たとえウクライナ危機が大戦に発展したとしても、北欧二国には軍事同盟による参戦のドミノ倒しが及ばないことが期待できるのです。
NPT体制がハードルとなって非同盟核武装中立政策を選択することが難しい場合には、先日合意されたイギリスによる安全保障の提供を活用するという方法もありましょう。同合意は、北欧二国がNATOに加盟するまでの間の暫定的な措置とされていますが、イギリスから核の傘の提供を受けつつもNATO加盟に対するロシアの反発を和らげる、並びに、政府間合意の段階ですので、NATO対ロシアの戦争に発展した場合にも、合意破棄が比較的容易になる、といったメリットがあります。両国の加盟に対してはトルコが難色を示しておりますので、意図せずして同状態に至るかもしれません。
ウクライナ危機を目の当たりにして、北欧二国がNATO加盟を急ぐのは理解に難くありません。しかしながら、核の抑止力を求めているならば、NATO加盟が唯一の道とは限らないように思えます。第三次世界大戦、並びに、核戦争という人類滅亡の危機を避けるためには、むしろ、別の道を選んだ方が賢明なようにも思えるのです。(おわり)
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