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2022-05-20 00:00
(連載1)北欧二国NATO加盟、別の道はないのか
倉西 雅子
政治学者
スウェーデンとフィンランドの北欧二国は、いよいよNATO加盟を正式に申請いたしました。非同盟政策を転換してのNATO加盟申請の理由としては、ウクライナ危機によるロシアからの軍事的脅威の高まりへの対応との指摘がありますが、メディアの報じ方からしますと、欧米諸国の動きは、あたかも第三次世界大戦への発展を織り込みつつあるような印象を受けます。とりわけここのところ、ロシア側から’好戦的’と非難されても致し方ないような報道が続いています。今般の北欧二国のNATO加盟も、どちらかと申しますと、対ロ陣営の形成、あるいは、西側諸国の結束強化の流れの一環としての解説が少なくありません。
こうした中、メディアの論壇でも、NATOとロシアとが全面戦争に至った場合、ロシアによる核兵器の使用があり得るか、否か、という問題が、議論の主題の一つとして持ち上がっています。軍事の専門家によれば、ロシアによる核の先制使用の可能性は決して低くはないそうです。通常兵器にあってNATOに劣後するロシアは、核の使用を以ってしか勝利を得ることができないからです。
また、敗北後におけるプーチン大統領等の責任者に対する軍事裁判、並びに、天文学的な賠償金の支払いを怖れ、ロシアはウクライナ危機を’絶対に負けられない戦い’と見なすかもしれません。勝つためには手段を択ばず、となりますと、ロシアによる核兵器の使用も杞憂では済まされなくなります。それをふまえれば、ウクライナ相手に苦戦する様を見てロシア与し易しとともすれば居丈高になる近時の風潮には懸念を感じざるを得ません。
今後、戦況次第でロシアが核を使用する可能性があるとしますと北欧二国が早期にNATOに加盟したとしても、両国は加盟を以ってしても核攻撃のリスクを下げることはできないこととなります。見方を変えれば、北欧二国は、’核の傘’を得るという目論見が外れ、むしろ、NATO加盟により核戦争に巻き込まれるリスクが高まったともいえるかもしれません。ロシアは、フィンランドに対して’軍事的脅威はない’と伝えたと報じられていますが、NATO加盟申請を機にフィンランドもスウェーデンも、ロシアから核攻撃を受けうる立場になりつつあるということかもしれません。核保有国であるロシアとの緊張が高まることで自国が壊滅しかねないとなるとNATO加盟の是非の判断はより複雑となるはずです。(つづく)
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