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2022-04-15 00:00
(連載1)ウクライナ戦争と日本―積極財政で日本をもっと勁く
長島 昭久
衆議院議員
ウクライナ戦争が終わりません。むしろ、日に日に状況が悪化しています。首都キーウ攻略に失敗し撤退したロシア軍の跡に残された侵略の爪痕―無残にも、おびただしい数の無辜の人々の遺体が路上に放置された映像―に、世界が戦慄しました。すでに、総人口の1割を超える400万人ものウクライナの人々が、家を壊され、肉親を失い、国を追われて、近隣諸国への避難を余儀なくされています。我が国もその避難民を400名以上受け入れていますが、これも前例のない措置です。さらに、大規模な経済制裁により、エネルギーや穀物価格が高騰し、私たちの生活を直撃しています。私たちは、何としてもこの戦争を一日も早く終わらせるべく全力を尽くすとともに、ウクライナ戦争から得た教訓に基づき、現実的な安全保障、経済、資源エネルギー政策を遂行していかねばなりません。
教訓の第一は、他国による侵略を許さない確固たる国防努力を怠らないということです。ウクライナ戦争はロシアの弱体化をもたらすことになると考えますが、我が国周辺には、依然として北朝鮮の核とミサイル脅威、強大な軍事力を背景に強硬な対外姿勢を誇示する中国が厳然と存在し、これらに対する適時的確な対応が求められます。とくに、日本全土を射程に収める1900発の地上発射型中距離弾道ミサイル、300発の中距離巡航ミサイル(一部は核弾頭搭載)に対抗しうる同様の中距離ミサイル戦力は、日米にはありません。つまり、有効な反撃手段を持たないということです。反撃できないというのでは、抑止力にはなりません。
じつは、これは我が国防衛をめぐる課題のほんの氷山の一角なのです。従来型の陸海空のアセットはもとより、サイバー、宇宙、電磁波といった新領域における我が国の対処能力は不十分ですし、燃料や弾薬の備蓄、基地や施設の抗堪性にも様々な課題を抱えています。今回のウクライナ戦争によって文字通り覚醒したドイツ(しかも、左派の社民党と緑の党の連立政権)が、国防予算をGDP比で1.4から2%に引き上げ、抜本的な国防改革に着手したように、我が国も5年程度で防衛予算をGDP比2%水準まで引き上げて、上述のような積年の課題を克服しなければなりません。
第二の教訓として、「力による現状変更」を行う可能性のある国への、過度な依存を見直さねばならないと考えます。代表的なのが天然ガスですが、経済産業省は、石油・液化天然ガス、半導体製造に必要なネオンなどの希少なガス、排ガス浄化に使われるパラジウムなど、ロシアやウクライナへの依存度が高く対策が必要な戦略物資が7品目あると公表しています。(つづく)
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