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2022-04-13 00:00
(連載2)バイデンのウクライナ政策は成功するのか
岡本 裕明
海外事業経営者
例えばパキスタンも経済危機に陥っている国の一つですが、どうもロシアとの取引を求めそうな気配です。インドもそう、エジプトもそうなる気がします。イランとも良好な関係だし、シリアとは言わずと知れています。トルコも要注目です。とすれば南アジア諸国を中心にロシアが関係を築くというシナリオが出てきます。中印関係も中国は対クアッド包囲網を受けて必ずインドに言い寄ると予想しています。一番の可能性は長年決着のつかない中印国境の策定ではないかとみています。仮に決着すればインドと中国の関係は劇的に改善します。アジアの最貧国の一つで、人口1.6億人のバングラディッシュは日本が今、注目している国ですが、それ以上に中国は既に国家を上げての抱き込み体制を敷いています。つまり、欧米経済制裁は中国の漁夫の利どころか、中国ロシアに想定外の好展開すら予想可能になってしまいます。これではロシア弱体化どころの話ではありません。
もう一つはハンガリーで議会選挙がこの週末に行われ、オルバン政権が再度、安定多数となりました。ハンガリーはEUに加盟している一方、旧東欧諸国としてロシアには近い歴史的関係があります。オルバン首相は極右に近いのですが、プーチン氏とつながっており、地政学的にもEUの一体感にも足元がそろわない原因の一つとなっています。
では、バイデン氏の外交です。アメリカでは一連のウクライナ問題についてアメリカ国民が政権と一体感を持って支持しているという雰囲気ではない気がしています。アメリカ国内で盛り上がるロシア批判、ウクライナ擁護はあくまでも市民レベルの人道的ボイスに見えるのです。アメリカの外交政策として評価した声には聞こえません。むしろ、今後、より厳しい判断を迫られる事態が次々と生じるかもしれません。今後、戦後交渉がいつになるかわからないですが、アメリカの秋の中間選挙がさほど遠い時期ではない中、バイデン氏の外交の失点となれば選挙後のレームダック化はアメリカそのものの指導力低下を加速させることになります。同じころ、中国では習近平氏が3期目を決めるのです。
私はこの戦局を厳しい目で予想し始めています。西側諸国は戦争に直接的に手を出していないのにネガティブな影響が出るとすればそれは外交戦略失敗であり、アメリカの威信の低下と評されるのは避けられません。ここに来てトランプ氏の名前が時々取りざたされますが、私はそれも現実的ではない気がしています。24年の大統領選の時には77歳です。バイデン氏と対して変わりません。アメリカはもっと若くバイタリティがある国家ですが、殻から抜け出せない、そんな具合に見えてならないのです。私には長い試練、そんな気がします。これを踏まえたうえで日本は外交戦略を考え直さねばならないと思っています。(おわり)
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