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2007-09-06 00:00
日本は漁業資源保護のイニシアティブを取るべし
福嶋 輝彦
桜美林大学教授
社団法人大日本水産会が、「水産エコラベル」を店頭の魚介類のパックに貼る制度を年内に始める。資源や生態系の保護に配慮して漁獲された商品であることを認証するためだという。大日本水産会のウェブサイトを見る限りでは、どのような基準で認定されるのか定かではないが、乱獲された魚介類ではないことを示すのが目的と思われる。
確かに日本の魚介類の自給率もご他聞に洩れず50%近くに落ちているうえに、東アジア近隣諸国との漁業規制でも思うように合意が達成されないのが現実である。世界一の魚介類消費国として、漁業資源の国際的保護に積極的に取り組むことは日本の利益にかなうことは間違いあるまい。ことにマグロ類などの漁獲規制を進めようという国際的な動きが出てきており、日本としてもこの問題に真剣に取り組まざるをえまい。
ところが残念なことに、国際社会では日本漁業への評判はすこぶる悪い。その典型が捕鯨問題であろう。欧米のメディアでは、日本は贅沢な食欲を満たすために「調査捕鯨」と称して「頭がよい」クジラに銛を何発も打ち込むという極めて残酷な方法で殺している、と報じており、日本人は身勝手な海洋資源の乱獲者という悪いステレオタイプが定着してしまっている。
捕鯨などに端を発する漁業をめぐる対日批判は、文化的相違に基づく感情的なものであるだけに、相当根強いと覚悟すべきだろう。捕鯨は日本の伝統食という文化論でばかり切り替えそうしていると、益々問題を泥沼化させる恐れがある。国際捕鯨委員会などの場で、調査捕鯨が不可欠という持論に説得力を持たせるには、日本が漁業資源の保護に精力的に取り組んでいるという真摯な姿勢を国際社会に印象づけるのが最も現実的かつ効果的であろう。
そこで「水産エコラベル」に提言である。資源の保護という観点からは、多少の傷物でも積極的に商品として活用しているケースも是非対象に含めてほしい。最近ではアジア近海での魚介類の買付で、日本の商社が韓国やロシアに競り負ける例さえ伝え聞く。それは日本が姿格好などで注文が多いのが一因だという。日本が世界最大の魚介類消費国であるだけでなく、最も効率的に使用するお手本の国であることを冷静にアピールすることこそ、むしろ日本の魚食文化の伝統を強く印象づけることになるのではないだろうか。
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