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2022-02-04 00:00
(連載2)北朝鮮はなぜあんなにミサイルを撃つのか
荒木 和博
拓殖大学海外事情研究所教授
もう5年か6年か前になりますが、あの北朝鮮がミサイルをかなりの数、20発くらい連発した時にどれほど北朝鮮の予算が費やされただろうと考えたことがありました。もちろん、実際のコストがどれくらいになるのかはわかりませんが、それより遥かに安いであろう日本最大級の花火のコストと同じと仮定して換算すると 5300万ぐらいかかるということでした。花火で 5300万ですから、弾道ミサイルを射つのがどれほど重い国民負担になっているか。北朝鮮人民に、その予算で食料を配れば餓死者は出なくなるでしょう。しかし、北朝鮮は国民を何人餓死させればミサイルを1発打てるという発想ですから、ミサイル開発はとどまるところを知りません。やめるのは全く別の要因が加わったときでしょう。
一時期、2年か3年か前のことですが、北朝鮮は「軍事と経済の並進路線」を謳ったことがありました。北朝鮮の専門家の中には、これを真に受けて、真面目に転換期が来たとみなす人もいました。当初から、北朝鮮の体制上、やろうと思ってもできるはずがありません。閉鎖的な社会を構築して、金正恩による独裁国家を維持するという史上の目標がある以上、採れる経済政策には限界があります。北朝鮮の経済当局もできることならば国内産業を振興したいでしょうが、並進などと言っても実際には体制維持の観点から打てる経済政策は少なく、かなり苦労しているのです。
ミサイルはこれからもまだまだ打つかもしれません。問題は、これほどにまで自国の経済を傷めるにもかかわらず、なぜそんなにミサイルを打たなければならないのかということです。上記に上げた3つの理由を中心にその時時の事情があってミサイルは発射されるのでしょうが、それを踏まえれば、総理や官房長官の記者会見のたびに「容認し難い」とか「情報の収集に全力を尽くす」といったことを繰り返し言うだけではあまり価値がないでしょう。
語弊があるかもしれませんが、「打ちたければどんどん打てばいいんじゃないですか」ぐらいの余裕と無関心を示せるくらいの国際環境を日本が作れるよう尽くすのが外交ではないでしょうか。そういうふうに振る舞えない日本がいることが、北朝鮮がミサイルを射つ根拠の一つにもなるわけですから。(おわり)
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