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2022-02-02 00:00
(連載2)黒田日銀総裁に向けた財務官OBの忠告
中村 仁
元全国紙記者
金融以外の要因の均衡状態が崩れる時ほど、マネタリズムは無力ということを、黒田氏は嫌というほど、思い知らされているはずです。もう1人の財務官OBの指摘はこうです。「大胆な政策の展開を始めたのだから、批判があっても、『ぶれるな』と忠告した。黒田君も当初から激しい批判を浴び、気にしていたので、そういって励ました」と。日銀は日本経済の基軸の1つですから、簡単に政策を変えるべきではないとの主張です。「日銀無謬性」といって、簡単に誤り認めていると、日銀の信頼性が低下してしまうという思想でもあります。
異次元緩和とかサプライズとかで、消費者心理を「インフレ期待(インフレ予想)に転換すれば、日本のデフレ心理を払拭できる」というのが、黒田氏の狙いでもありました。物価が少し上がったのは、1年くらいで、あとはほとんど動きませんでした。その財務官OBに「インフレには、いいインフレと悪いインフレがある。2%上昇といっても、2%という適度のいいインフレと、中身の悪い2%インフレがあるはずだ。どう考えるのか」と、聞いたことがあります。答えは単純明快でした。「マネタリズムには、いいインフレも悪いインフレもない。とにかく物価をコントロールすることが課題なのだ」と。恐らく黒田総裁も同じ考えだと想像しました。このうち「ぶれるな」については、黒田総裁は直近の記者会見で「大規模金融緩和は維持する」と語り、ぶれていません。
実際は国債の日銀購入額を減らし始めていますから、政策転換の地ならしを始めてはいるようです。「いいインフレ、悪いインフレ」については、海外動向を受けた日本の物価上昇は、昨年12月、0・5%上昇となり、企業物価指数は8・5%という高い伸びで、それがじわじわ家計にも及ぶ流れになっています。海外物価、原油高、円安によるコストプッシュ・インフレで、悪いインフレです。これに対する景気回復に伴う需要拡大の結果として起きるデマンドプル・インフレは、いいインフレ(景気回復型)です。
今も、黒田総裁は「マネタリズムでは、インフレにはいいも悪いもない」と、思っているのでしょうか。とにかく、日本も2%目標を達成したら、異次元金融緩和に区切りをつけ、金利も引き上げる方向に向かうべきです。パウェル米中央銀行総裁(FRB議長)が昨年来「物価上昇は一時的な現象」と言いながら、上昇幅が大きくなると、「年4回の利上げ」を示唆するなど、現実の経済に即した政策をとろうとしています。黒田氏も「ぶれない」ことにこだわっていてはいけません。パウェル氏を見習うべきです。「23年4月の総裁任期の終了までは、大規模緩和を転換しないだろう。転換は次期総裁からとなろう」と、予想するエコニミストもいます。そんなメンツは捨てるべきです。(おわり)
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