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2022-01-28 00:00
(連載2)低迷する中国経済の今後はいかに
岡本 裕明
海外事業経営者
毛沢東に比べ、習近平氏の表面上の経済成績についてはそこまで悪く見えません。但し、就任後に2020年のGDPを10年比で倍増させるとした計画は未達でした。大躍進政策ほどの失敗とは言いませんが、経済についてはいびつになり共産主義の理想とかけ離れてしまいました。統計の透明性や正確性、不動産と投資マネーによる地方経済のバブル化とその隠蔽、一帯一路政策と東アジア、アフリカ諸国への過剰介入など、この10年間、中国が採った政策は「薄く広く」、そしてその綻びが目立ってきた、というのが総評でしょうか?2年ぐらい前から富のアンバランスと政経分離が目につき始めます。アリババなどテック企業が巨大利益を計上するのみならず、個人情報を持ち、独自経済圏を形成するようになり、共産党の趣旨と反することから弾圧に近い締め付けを行います。それはエスカレートし、ゲーム、塾、更には有名人への監視体制など成長の芽を見事に摘み取ってしまったのです。これでは毛沢東が大躍進政策から文化大革命に移行した流れに重なってしまいます。
では中国経済は終わりなのか、といえばそうとも言えません。国家として興味があり推進すべき分野には引き続き強い支援をしていくのでしょう。その最たるものが電気自動車、自動運転、デジタル人民元ですが、これが何を意味しているかと言えば最終的に国家が全ての人民の動きをデジタル管理し、監視体制を作ることであります。これは習近平版文化大革命の完成形なのでしょう。毛沢東の文化大革命は紅衛兵が国家の方針に対して過剰な行動をとります。一種の原理主義と同じでほんの少しの不純物も許さないという考え方でした。これが数千万人が死んだとされる10年間の顛末です。習近平氏も自分のプロパガンダを推し進め、自身の3期目の立場を不動にするためにはより原理的な締め付けを展開をすると予想するのがナチュラルです。
では中央管理体制で全てうまく機能するのか、といえば否です。アメリカでも経済政策や金融政策は方針に対してあらゆる議論がなされ、かつ、社会や市場の反応をバロメーターとし、修正を重ねていきます。つまり、初めにAという方向性を提示しても実際にはA’やBになることが当たり前です。ところが共産主義にはこの弾力性がない、これが毛沢東の失敗であり、習近平氏の経済政策の弱点なのです。
今後、当たり前ですが、二つに一つしかないとみています。一つは習氏が経済状況に目をつぶりより原理的に体制強化を図るか、国内の反対派の声を抑えきれず、妥協の緩和策をとるかです。前者になれば経済は荒れ、世界に伝播するでしょう。後者ならば案外目先の危機を乗り切れるかもしれません。長期的には中国は10年前の「世界の工場」とは全く違う世界に向かっており、どこに向かって舵を切るのか、なかなかの難問と言えそうです。(おわり)
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