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2021-12-09 00:00
ウクライナはどこへ向かうか
真田 幸光
大学教員
ウクライナと言う国があるのはご存知の通りです。ウクライナは、16世紀以来、「ヨーロッパの穀倉地帯」として知られており、19世紀以後もこの地域の産業の中心地帯として大きく発展した国であります。天然資源に恵まれ、鉄鉱石や石炭など資源立地指向の鉄鋼業を中心として重化学工業が発達していますが今は必ずしも経済的に恵まれた国ではありません。歴史を見ると、キエフ大公国が13世紀にモンゴル帝国に滅ぼされた後は独自の国家を持たず、諸侯はリトアニア大公国やポーランド王国に属していました。17世紀から18世紀の間にはウクライナ・コサックの国家が興亡し、その後、ロシア帝国の支配下に入りました。第一次世界大戦後に独立を宣言するも、ロシア内戦を赤軍が制したことでソビエト連邦内の構成国となりましたが、1991年ソビエト連邦の崩壊に伴い独立した国であります。歴史的・文化的には中欧・東欧諸国との関係も深いです。
こうした中、ウクライナ人は、必須科目として、ウクライナ語のほか、情報学、経済学などを学び、英語は1年生からの必須科目となっており、今や、世界的に不足する、「IT人材」を輩出する国で、私がご縁を持つ企業でもウクライナ人の若人たちが活躍しています。尚、2000年から2001年の調査によると全体の7割がウクライナ語で教育を受け、残りの3割弱がロシア語となっており、そのほか、クリミア・タタール語、ハンガリー語、ルーマニア語でも教育が行われています。さて、そのウクライナは、東にロシア、西に、ハンガリーなど東欧諸国があり、国家としては、どちらかと言えば、ロシア寄りと言うよりも、東欧諸国寄りの国と言えましょう。
そして、ウクライナは、1991年8月24日、旧ソ連から独立した国で、上述したように、石炭や鉄鉱石など、主として、ウクライナ東部地域に天然資源が恵まれている国です。大統領選挙では、親ロ派のヤヌコーヴィッチ氏が勝利しましたが、反対派は収まらず、2014年2月、ヤヌコ-ビッチ氏は突然、行方をくらまし、(ロシア政府が匿っていると言われている)、2014年3月、ロシアはクリミア半島に軍事介入、この時、当時のロシアのメドべージェフ首相は、「クリミアは長い航海を終え、今、母国に帰って来ました。」とコメントしています。しかし、これが現在もロシアとウクライナ、そしてロシアと世界の一つの課題の遠因となっています。ウクライナ国内は、西の首都キエフの政権側と、東の親ロ派2州との軍事対立が今もなお一向に収まらず、キエフのウクライナ政権側、ロシア、ドイツ、フランスの4者が、所謂、「ミンスク停戦合意」に向け、何度も会議していますが、双方、互いに利益が対立したままです。
尚、ポロシェンコ政権はEU加盟の希望を表明しており、更に、ロシア軍の侵攻に備え、ウクライナ政府は、五か国のNATO加盟国の軍隊と共同軍事演習を行いたいとしています。いずれにしても、ウクライナは私にとっては、何とも判りにくい国です。今は米国・EUと中国本土・ロシアの双方がすり寄っているように見えます。クリミアや東部諸州への侵攻は既成事実化していると私は見ていますが、米国のバイデン政権はこのウクライナをどう守るのであれましょうか。現在のウクライナの政権は米国・EUに頼る方針のようですが、現在は貧しい国となっているウクライナの最大の貿易相手国が中国本土です。複雑なウクライナ、もう少し勉強しなくてはなりません。
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