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2021-12-03 00:00
バイデンのインフレ対策はどうなっているのか
大井 幸子
国際金融アナリスト
10月にインド太平洋地域では、3つの空母打撃群(ロナルドレーガン、カールビンソン、クイーンエリザベス)を含む8カ国の艦隊(英、米、日、豪、カナダ、インド、オランダ、ニュージーランド)が結集し、フィリピン沖、ベンガル湾で大規模な合同軍事演習を矢継ぎ早に実施しました。前代未聞です。このこれほど莫大な軍事予算と原油を消費して実施された大軍事演習の目的は、中国包囲網です。その後、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)がグラスゴーで開催され、11月13日に閉会となりました。この国連会議でもまた「中国包囲網」の様相を呈しましたが、石炭火力を増やし続けるインドも巻き添えになり、会議は一時混乱しました。が、なんとか、「1.5度目標に向かって世界が努力する」ことで一致し、正式に合意されました。
COP26後の11月15日に、米中首脳会談がオンラインで開催されました(バーチャル・サミット)。10月の大規模な軍事演習による中国への威嚇をバイデン政権が外交上どのように利用するのかを、私は注目していました。その結果は、中国の石油の備蓄を放出するように働きかけるというチープなものでした。既報の通り、米国ではインフレ懸念が高まっています。ガソリン代の高騰は、車社会の米国では国民生活が苦しくなるので、誰もがその負担をバイデン政権のせいだと感じています。バイデンは自分の人気取りと延命のために習近平氏にこのような陳腐な取引を持ちかけ、中国はそれに応じたようです(South China Morning Post 11/17付「Exclusive | US asks China to release oil reserves as part of discussions on economic cooperation, source says」)。
そもそもバイデン大統領は当選以来、脱炭素を掲げ、石油業界を締め付けてきました。就任直後の今年1月には、カナダと国境をまたいだ石油パイプライン、キーストーン建設の認可をせず、多くの混乱をもたらしました。米国はシェールオイル、シェールガスの生産によりトランプ政権下で世界一の石油輸出国となったのにも関わらず、自国のインフレ対策のためにOPECに増産をお願いし、中国に備蓄放出をお願いする、一体どうなっているのか?そして、その対価として中国に何を譲歩したのか?このままいくと、脱炭素やグリーンディール、インフラ大判振舞いで米国の財政支出は拡大し、政府債務は急速に膨らみ、そして、莫大な軍事支出も続く。同時に、インフレが進行する。外交、エネルギー政策、国内の財政規律まで、現政権にはどのような一貫性があるのでしょうか。
米国のこのような失態は金融市場にも何らかの影響を及ぼしていくと予想されます。そして、インフレについていえば、日本でも原材料価格は「戦時並み」に上昇を続けています。私の知人は菓子メーカーでカカオやその他の原材料を調達する仕入れ担当をやっています。彼によると、すでに8月にはカカオなどの主要な原材料が「買い占め」られ、日本には当分回ってこないそうです。日本では人々はパンデミックを忘れたかのように週末に観光したり、日常を取り戻そうとしているように見えます。しかし、日本のメディアが伝えない情報からは、世界は「有事」であり、その有事の最前線に台湾と日本列島が位置している事実が見えてきます。
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