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2021-11-30 00:00
(連載1)選挙買収まがいの55兆円経済対策
中村 仁
元全国紙記者
政府は財政支出が過去最大の55兆円となる経済対策を決めました。国費約30兆円の財源は国債で手当てする見込みです。最悪の財政状況にかかわらず、先の総選挙で与野党を問わずバラマキ合戦をした結果です。来年夏の参院選も控え、バラマキ財政に拍車がかかりました。野党が与党をけん制するどころか、所得税や消費税率の大幅引き下げなどを主張するものですから、刺激された与党は負けじと財政膨張に走りました。総選挙の期間中、茨城6区における岸田首相の応援演説会で、トラック協会の関係団体絡みで参加者に5000円の日当が支払われ、市民団体が有権者の買収に当たると告発をしました。公職選挙法違反の疑いです。
一方、最大派閥の会長に就任した安倍元首相が17日、事務所を訪れた岸田首相に「経済対策では、今すぐ使える真水ベース(国による直接負担)で30兆円を上回る規模が必要だ」と要請しました(日経/20日)。岸田首相も総裁選向けに「数十兆円の経済対策」を公約していました。選挙運動の際、候補者という個人側から、有権者個人にわたるカネは買収資金として特定しやすい。選挙絡みで、国家予算という大きな財布から不特定多数にわたるカネは合法化できるということでしょうか。政治家が個人的に秘密裡に裏金を有権者に渡せば、公職選挙法違反となります。政権・与党が国民向けとして予算措置を講じれば、選挙絡みでも合法的な行為とされる。釈然としない話です。
今回の経済対策は政府が閣議決定し、予算案として国会で可決され、合法的な措置となります。そうであっても、「国家資金を使った与党の選挙対策費」という性格の色が濃いと思います。経済・景気対策なのか、選挙対策なのか紛らわしい予算を歴代政権も組んできました。それがだんだん露骨になってきたような印象を受けます。
安倍氏が「すぐ使える真水ベースの30兆円を」などという露骨な言い方をし、しかも「その金額を首相に伝えた」と新聞にすぐ報道されることをむしろ期待している。そのことを全く隠そうとしない。安倍氏は2014年11月、「解散表明、消費税10%への引き上げ見送り」と述べました。「見送りについて有権者の判断を総選挙で問う」とも語り、明らかに直接的な選挙利用だとの批判が聞かれました。有権者誘導型の経済・財政政策の程度がだんだん色濃くなってきています。(つづく)
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