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2021-11-24 00:00
(連載1)尿素水問題の波紋
真田 幸光
大学教員
恥ずかしながら、韓国で尿素水に関するニュースが最近になって突然増えた当初、私は、「医療界で何か問題が起きたのか?」といったように考えてしまいました。否、そもそも尿素水に関する関心、基礎知識に欠けていた私には、尿素水のニュースが韓国でどんどん流れていることが当初は不思議に映り、あまり意識もしませんでしたが、これがとんでもない間違いでありました。そこで、そうした私自身の反省を基にして、尿素水に関する日中韓の報道を纏め、それを私なりに整理してみると、以下のようになります。ご参考まで、ご一読ください。
先ず、当初、尿素水のニュースが突然急増した韓国について。韓国電力傘下の公企業である電力関連会社は尿素水納品業者から契約の見直しを今や求められているようです。中国本土からの輸入不足に伴う尿素水不足の影響で価格が急騰し、納品単価に合わせられないからとされています。石炭、LNG(液化天然ガス)、石油を燃料とする一部の火力発電所では汚染物質を減らすために尿素水が使用されており、現在韓国国内で稼働している185基の火力発電機(公企業保有分)のうち、15%前後が尿素水の必要なもの発電所となっており、これらの発電所は尿素水が手に入らなければ稼働をストップするしかないとされていますが、尿素水の在庫は既にあと1カ月分ほどしか残っていないのが、実状のようであります。今後、電力需要が急増する極寒の真冬を目前に控える韓国にあって、尿素水不足によって発電をストップするような事態に直面していると言え、尿素水自体が極端に不足している韓国の現状では、納品価格を引き上げるだけでは解決できない状態にあると言えるのではないでしょうか。
それでは、2011年の原発事故以降、現状、化石エネルギー発電に頼る日本の状況はどうであるかと見ると、日本政府・財務省は、「日本は昨年確保したアンモニア96万2,814トンのうち、77%の74万3,231トンを自社で生産した。日本は宇部興産(36万トン)、三井化学(31万トン)、昭和電工(12万トン)、日産化学(12万トン)の4社が既に91万トンの生産能力を保有している。在庫も5万7,323トンを確保している。」とコメントしています。また、日本の精油業界関係者は、「日本も需給がギリギリになったが、韓国に比べると大きな問題はない。」と説明、更に、「輸入も中国本土に一切依存しておらず、同盟国のオーストラリアとインドネシア、台湾の3か国から年間確保量の23%を輸入しており、インターネット電子商取引でも要素数は10リットル(丸山化成「アドブルー」ブランド基準)1,500円で正常取引されており、尿素水不足が起こる前の韓国とほぼ同じ価格で取引されている。」とコメントしており、一定の安全性が確認されているとの主旨の発言をしています。更に、採算性の問題でも2011年に、尿素水の自国生産を中止した韓国とは違って、日本はアンモニア生産と関連して、世界最高の技術力を持っているとの評価を受けており、日本政府は昨年12月に確定した、「2050年カーボンニュートラルの実現」でアンモニアを水素と共に次世代エネルギー源に指定していることなどを見ると日本には問題が顕在化しないであろうとの見方もなされています。また、
別のニュースを見ると、「二酸化炭素を最も多く排出する発電所にアンモニアを混ぜて使えば、排出量を大幅に減らすことが出来る中、既に日本最大の電力会社である東京電力ホールディングスと中部電力の合弁子会社であるジェラ(JERA)がLNGにアンモニアを混ぜて燃料として使用する実験にも着手している。日本が、独自にアンモニアを生産できるのは、大規模化学団地でアンモニアの主原料を安価で確保出来る為と分析され、日本に進出した韓国精油業界関係者は、日本の大規模化学コンビナートではアンモニアの主原料であるコークスが副産物として排出されており、アンモニア製造会社も大部分化学団地周辺にあり、原料を大量に安く入手できると日本の優位性を認めている。」との見方が示されています。更に、日本は、「ディーゼル車の比重が低い点も、尿素水不足を回避している原因に挙げられる。昨年販売された乗用車288万台のうち、ディーゼル車は5.8%に過ぎず、日本は、ハイブリッド車が主力である為、ディーゼル車への依存度が低いと理解されている。日本政府は、2035年まで、バスやトラックも100%エコ車両のみ販売することを計画している。」とのニュースが示されており、「一安心」と言うことでありましょうか。(つづく)
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