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2021-11-18 00:00
(連載2)欧米に逆行する経済政策を警告しない社説に失望
中村 仁
元全国紙記者
読売新聞はどうか。「経済動向を見極め慎重に金融正常化を進めてほしい」、「景気に目配りした政策運営とともに丁寧な情報発信が不可欠だ」、「過度な円安はマイナス面もある。政府・日銀はFRBの政策転換の影響を注視すべきだ」と。これも「慎重に」「丁寧な」「注視すべきだ」と、社説の常套用語を並べています。「そんなことは言われなくても分かっている」「日本はどうすべきなのかの主張が全くない」と言われるだけでしょう。異常な金融緩和政策からの転換を図り始めた欧米主要国に対し、日本は逆走している印象です。岸田政権は数十兆円の経済対策を打ちだそうとしています。米国議会はバイデン大統領の経済対策(当初400兆円)を牽制し、半分の200兆円に減らさせることにしました。
日本は与野党ともバラマキ体質で、金融財政の正常化の声は皆無です。酷いのは公明党で、「未来応援給付金として、18歳以下に一律10万円支給」を売り物にしています。一律ですから所得制限なしのバラマキです。一回限りの10万円がなぜ「未来応援」になるのかも理解できない。「デフレ脱却のための異次元金融緩和」がいつの間にか「円安誘導、財政膨張を下支えする日銀の国債購入」にすり替わりました。円安に資源高が重なり、日本の対外支払いが増える「悪い円安」が始まっているのに、日銀は沈黙したままです。「成長なくして財政再建なし」「成長なくして分配なし」が与党の政治的スローガンです。そう言い続けて20年、30年です。そう言い続けて、財政赤字(国家債務残高)のGDP比は50%から250%に跳ね上がりました。金融財政政策では、財政再建を可能にする経済成長力を取り戻せない。
「日本は国家資本主義国」です。巨大な財政赤字と通貨供給量が示す「巨大な政府と日銀」が国家経済の土台になっています。「新しい資本主義」を目指すなら、この「国家資本主義」をどう考えるかです。経済危機に襲われ、大規模な財政出動、金融緩和をするとマネーが市場にあふれ、株高が生じる。危機が去り、金融財政政策の正常化を始めようとすると株が下落するので、正常化に待ったがかかる。そのうちに再び経済危機が訪れ、また拡張的な財政金融に追い込まれる。
その危機が去り、再び正常化すべき時期がきたとしても、それに待ったがかかる。その繰り返しです。特に日本では、その結果、膨大な財政赤字が積みあがった。だから膨張的な拡張政策に踏み込むと、いつまでも正常化できない。世界的に成長率が低下しているため、各国ともに似たような状況で、正常化が容易ではなくなっている。そういうことなのだと思います。社説が取り上げるべきは、そういう問題なのです。社説は異口同音に常套用語で飾り立て、本質的な問題提起することから逃げています。(おわり)
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