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2021-11-16 00:00
(連載2)FRBの量的緩和縮小と日銀の現状維持
岡本 裕明
海外事業経営者
では日本はといえば10月27-28日に開催した定例会合で量的緩和の維持を決めています。理由はインフレにならないからです。これだけ資源価格が上昇してもインフレにならないのです。明らかにおかしいですよね。私はその理由の一つに日本の国債の国内消化率が高すぎることに原因があるのではないかと疑っています。現在日本の国債の外国人所有率は7.2%に過ぎません。日銀が48.2%持ち、銀行、生保、年金で4割強持ちます。これがなぜインフレ率に関係するのでしょうか?
通常、国債は10年物が注目されます。どこの国でも同じです。特に住宅ローン金利は10年物国債の利率が大きな決定要因になります。その中で日本だけは国内で消化される国債と日銀の上手な国債市場の支配により価格(利回り)が非常に安定しているのです。アメリカで株価が下向くときは概ねこの10年物国債の利率が急騰(価格が下落)するときです。つまり、日本ではどうやっても利上げ機運は国債の指標からは出てこないのです。もしも日本の国債のしかるべき比率を外国人が所有すれば今頃、国債の利回りは急騰し、日銀では量的緩和縮小が論じられていたはずです。当然、企業は激しい荒波と向き合わねばならないのですが、幸か不幸か、日本は完全に守られているのです。幸か不幸か、というのは国内だけで全てが自己完結する社会なら幸ですが、海外の中の日本となれば不幸になります。なぜなら先進国とのギャップが開き、中韓などの激しい追い上げで距離を詰められるからです。
我々は長年日本政府の借金である国債は国内消化されているから安心だ、と言い続けていました。これは実は「見ないふり」なのです。いつまでも日本国内で国債が消化されるとすれば日銀がずっと買いあげる財政ファイナンスのような形にならざるを得えません。高所得者の高齢者の平均年齢は上がり、年金、生保もリターンが低いので運用は国債外しが増えるでしょう。私からみればどう見ても我慢大会なのですが、目に見えて温度が上がらないためにゆでガエルの認識に乏しいのだとみています。仮に国債市場が株式市場のように海外投資家により影響を受けるようになれば日本経済は今とは全く違った絵図になると予想します。多分99%の日本人は嫌がるでしょう。
しかし、これが日本の独特の経済環境の背景の一つの公算はあります。つまり「失われた〇十年」はバブルからの回復が遅れたのではなくもっと違うところに原因があるのではないか、と私は考え始めています。(おわり)
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