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2021-11-05 00:00
(連載1)新聞・テレビの衆院選議席予測を採点する
中村 仁
元全国紙記者
衆院選で自民党が大幅に議席を減らすとの予想が多かったのに、結果は狂いました。「自民、過半数割れも」のはずが「絶対安定多数を確保」です。新聞、テレビの選挙予想は惨敗です。昨晩、テレビの選挙速報を見ていると、早々に最終議席予想を流したのは、池上彰氏が陣取るテレビ東京でした。ずばり「自民240、公明30、立民111・・」と、打って出ました。思い切りの良さが裏目にでました。逆にNHKは「自民212~253、公明27~35、立民99~141・・。ぎりぎりで自民単独過半数」と、これなら狂いようがないとの思いをこめました。結果は自民が261ですから、大外れです。
他局はどうかというと、日本テレビが「自民、過半数確保も」、フジが「過半数、微妙」と、慎重な出だしでした。どこかの時点でフジは「230」、テレビ朝日「243」と。つまり自民の大幅減で横一線です。最終結果は「自民261」で、「自民、過半数微妙」どころか、自民単独で安定多数の「244」を超え、無所属当選議員を追加公認すると、さらに絶対安定多数の「261」に到達しました。NHK予想の上限「253」を超えました。テレビ局は全敗です。これほどの完敗はそうあることではありません。
狂いがちの事前予想はともかく、開票が始まり、出口調査の結果を踏まえた当日夜の予想なのに狂った。テレビ各社は事後検証して、「誤報同然」の数字を垂れ流したことを釈明すべきでしょう。朝日新聞の社説は「自民は公示前の議席を減らし、金銭授受を引きずる甘利幹事長が小選挙区で落選した。首相や与党は重く受け止めるべきである」と。厳しい予測が多かった中で絶対安定多数を確保したのですから、私の実感は「自民党、予想外の圧勝」です。「重く受け取るべき」は、新聞社側もそうです。選挙予想の大外れを「重く受け取る」ことです。
新聞の事前予想は、幅が広すぎて、参考になりませんでした。最もひどかったのは産経で「自民218~246、立民126~151、共産16~19」です。自民は過少、立民(最終結果は96)と共産(同10)は過大な予想です。明らかに「自民は惨敗、野党共闘は躍進」という危機感を募らせたかった。読売は「自民、過半数微妙」でしたから、やはり「自民が絶対安定多数に到達」について、事後検証を掲載すべきです。(つづく)
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