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2021-10-16 00:00
(連載2)中国の共産主義国家ゆえの経済問題
大井 幸子
国際金融アナリスト
ソ連の経済構造は国家計画経済であり、あらゆる生産手段が国有化され、個人や民間の経済活動の自由はなく、全くの統制経済でした。国民は公務員、働いても働かなくても同じ給与。納期はない、品質管理もない工場には不良品が積まれ、出荷されても売れない。返品の山となり、市場にはモノが出回らない。ソ連は慢性的なモノ不足となりました。そして、海外からの贅沢品などは闇市(地下経済)で取引され、そこには、マフィアやヤクザがはびこり、一般市民が暴力や犯罪の犠牲になりました。
この辺りの状況については、小室直樹氏が『ソビエト帝国の崩壊』(1980年)と『ソビエト連邦の復活』(1991年)で鋭く分析しています。小室氏は労働者のエートス(勤労意欲)についても、「上からの命令にヘコヘコ従うだけ、独創性や指導性が評価されることはなく、その結果、ソ連の労働者は奴隷根性が身にしみきって働かなくなった」と記しています。つまり、共産主義/社会主義経済ではイノベーションが起こらないのです。
さらに追い討ちをかけるように、中国の三分の二で広範な大規模停電が発生していると報じられています。電力不足で水を汲み上げられずに水道が止まる、夜も明かりがない、強盗がはびこるなど、まさに百鬼夜行です。ある技術者は「中国では基礎技術がなく、海外のマネで発展してきたのでいざとなると自分たちで一から修理し、立て直せない。だから悪いことは馬乗りになってやってくる」と評しています。
電力不足は産業にとって致命的です。工場の生産が止まれば、製造業から食品加工に至るまで広範に減産になります。食糧不足から食品価格の高騰は免れません。また、金融においても電力がなくなれば、ビットコインのマイニングができないといった程度ではなく、取引決済が困難になり経済活動が滞ります。また、ネットをはじめとした通信環境も維持が難しくなるでしょう。まさに、危機は馬乗りになってやって来ています。(おわり)
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