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2021-09-24 00:00
(連載2)首相公選制で政治の活性化はできないものか
中村 仁
元全国紙記者
自民党総裁、つまり事実上の首相選出で、「世論」を「議員票」より軽く扱うのはやめるべきです。ですから「決戦投票なんかやめたらどうか。2、3位連合(岸田、高市連合)でトップが逆転し、その人が総裁になったら、世論を反映しなくなる」という批判が聞こえてきます。自分たちで国会議員や知事は選べるのに、自分の国のトップは選べない。米国では大統領を直接選挙で選び、国民は政治参加でき、政治意識が高まる。トランプ氏のような危うい扇動政治家が大衆の人気で当選しても、一期でバイデン氏に敗北しました。
世論は風のようなもので、くるくる変わる。直接選挙は人気投票になりがちだし、ポピュリズム、衆愚政治に走りやすいという指摘が常にある。かつての田中真紀子氏も、首相公選制だったら、首相に選ばれていたかもしれない。環境相の小泉進次郎もしばらく前まで「次の首相候補」の1位をずっと走っていました。見た目の人気先行で、実力もないのに、日本は混乱していたことでしょう。議員が首相を選ぶ間接選挙でも、民主党の鳩山、菅首相という劣悪な人物が登場し、2大政党制への道を潰してしまいました。ですから間接選挙のほうが政治は安定するというわけでもありません。
さらに間接選挙のもとでも、ポピュリズムに走ります。今回の総裁選でも、逆転1位の可能性のある岸田氏は「数十兆円規模の経済対策をする。消費税については10年は上げない」との公約です。 河野氏は「保険料ではなく、税金を投入して基礎年金(1人1月7万円?)を保障する」といいつつ、財源を明示しない。民主党政権当時にもあった構想で、試算では消費税8%相当の財源が必要らしい。
現在の憲法では、「総理大臣は国会議員の中から国会の議決で選ぶ」(67条)となっていますから、憲法改正なしに首相公選制は導入できまない。大統領制のように民間人でも立候補できるのかどうか、議員内閣制との関係をどうするかなど、山ほど課題があります。経済社会の急激な変化に、現在の政治システムは対応しておらず、このままでは世襲議員ばかりの政界になってしまう。新しい政治人材が参入できる直接選挙は検討に値する。政界は改革が最も遅れている分野です。(おわり)
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