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2021-09-16 00:00
(連載1)不発弾3発の惨状、検証要する月刊誌の政局報道
中村 仁
元全国紙記者
総合月刊誌の雄を自認する月刊文芸春秋10月号は、雑誌研究史に残る大失態を演じました。菅首相をめぐる総裁選という大テーマを満載したところ、少なくとも3本が不発弾ないし誤爆となりました。文春は10月号から、新聞時評「新聞エンマ帳」を復活させ、「コロナの無責任報道を叱る」という記事を載せました。タイミングが悪いことに、肝心の文春今月号は「月刊文春を叱る」とでも言いたい惨状です。新聞と違い、雑誌記事では、特に執筆者の責任が重い。そうはいっても、編集部がかなり前から企画立案し、原稿をチェックし、掲載の最終的な決定を下し、印刷工程に送り出します。
月刊誌は新聞、テレビ、ネットと違ってハンディがあり、手直したくても「時、すでに遅し」となることがよくあります。そこは同情するにしても、今回は記事を検証し「劇的な読み筋違いの弁」を掲載してはどうか。最大の不発弾は、「菅首相インタビュー/正面からお答えします」です。聞き手は元朝日新聞主筆の船橋洋一氏ですから、役者に不足はない。首相は3日に総裁選不出馬を表明し、発売日は10日ですから、その経緯、首相の誤算、反省などに鋭く切り込んだインタビュー記事だと思い、読み始めましたら、どうも勝手が違うのです。
14㌻のうち10㌻が新型コロナ対策に割かれています。総裁選向けらしい苦労話がだらだらと続く。首相とは思えない細かなことばかりお話になる。船橋氏にも切れ味は感じられません。事前の調整があったのでしょう。読んでいるうちに「そうか、総裁選出馬に向けた決意表明を兼ねて、自分の実績を語ったのか」と。そうでした。船橋氏が質問で「総裁選出馬を表明しています」とふると、「自助・共助・公助」の決まり文句を述べ、最後に「解散は自分の手でやってみたい」と、締めくくりました。
8月末のインタビューですから、その時は菅首相は総裁続投のやる気まんまんでした。首相続投を前提として、インタビューを仕上げたのでしょう。3日に不出馬表明があった時には、編集の修正がもうきかない。読者は、「過去の人」になった首相の「コロナ、五輪、解散から安保戦略の見直しまで」(目次のタイトル)を聞かされても読む気は失せる。(つづく)
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