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2021-08-07 00:00
(連載2)誰がハイチ大統領を暗殺したのか
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
話を戻すと、2021年7月7日午前1時頃、ポルトープランス近郊にあるモイーズの私邸に武装組織が侵入し、大統領はその場で銃撃によって暗殺。重傷を負った大統領夫人は一時情報が錯綜したものの、アメリカで治療を受け療養中である。ハイチの公用語はフランス語であるが、武装集団は英語やスペイン語を話していたとされている。事件発生はクロード・ジョセフ暫定首相が公表し、「残忍で野蛮な行為を非難する」と声明を発表したほか、国家の継続のためあらゆる手段が取られたとも述べ、冷静を保つよう呼びかけた。ジョセフ暫定首相は閣議後に2週間の非常事態宣言を敷くことを宣言した。
さて、このような事件があった場合は「誰が何のために行ったのか」が最も重要になる。そのことを考えるには、何人であれ犯人を確保しなければならない。フランス語圏のハイチにもかかわらず、実行犯たちはスペイン語と英語を話していたと大統領夫人は証言しており、これは傭兵を意味している。なお、襲撃当時、犯人はアメリカ合衆国麻薬取締局(DEA)の捜査官を自称しており、DEAの作戦であるとしきりに叫んでいたとされるが、そのように自称しているからアメリカが犯人であるとは限らない。逆に、簡単にそのように言うこと自体が何か怪しいともいえる。
警察当局による容疑者の殺害、身柄拘束の情報は事件直後から断続的に続けられ、7月8日になって実行グループはコロンビア国籍26人、アメリカ国籍2人の少なくとも28人にのぼることが明らかにされ、7月12日にはクリスチャン・エマニュエル・サノン容疑者が逮捕され、米国の警備会社を通じて実行犯を集めた疑いがあるということも明らかにされた。その後、コロンビア人傭兵20人や大統領警護隊主任警護官が逮捕されている。
ハイチがこれで再度国内の混乱をすることは間違いがない。同時に、ハイチの大統領暗殺をめぐる話が、外国にまで飛び火した一大陰謀事件に発展する可能性もあり、その責任をめぐって中国とアメリカが外交戦を繰り広げており、それに絡んで台湾やコロンビアも国際問題に巻き込まれている。過去に、第一次世界大戦も日露戦争も、要人の暗殺または暗殺未遂から発展しており、どのような影響を国際情勢に及ぼすのかを注視しなければならない。ハイチという、カリブ海の国であるからといって、日本は関係ないとは言っていられないのではないか。(おわり)
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