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2021-07-22 00:00
(連載1)現代中国の盲点三論:最近の「中国脅威論」の虚実
松本 修
国際問題評論家(元防衛省情報本部分析官)
7月21日、中国共産党の習近平総書記・中央軍事委員会主席は河南省など各地で豪雨による洪水被害が発生した状況に対し「人民大衆の生命財産安全を守ることを常に最上位に置け」と各級指導幹部に発破をかけ、被災者の救助や避難を適切に行うよう重要指示を漸く出した。ほぼ1週間前の13日、国家洪水対処総指揮(総司令官)を務める王勇国務委員は国家洪水対策会議を既に開き、洪水対処の「予令」(準備命令)を出していた。さらに王勇国務委員は15日から17日にかけて河南省、安徽省に入り現地の洪水対策指導を行ったところであった。
他方、こうした緊迫化する情勢の中、習総書記ら中国指導部は13日、北京で中国共産党100周年祝賀準備活動に関与していた担当者への慰労式典を行っていたのである。かように最近の習近平体制には、ちぐはぐな対応がみられるのである。しかし、本稿で取り上げる「盲点」は7月に入って喧(かまびす)しい台湾有事、これに伴う日本有事の議論である。以下、要点をみていこう。
総合誌『文藝春秋』8月号(7月10日発売)は総力特集“中国共産党の「野望と病理」”を掲載し、諸論点を提起している。中でも作家の麻生幾氏による論稿“迫る台湾侵攻「日米極秘訓練」の全貌”が注目された。一読して小生が感じたのは、麻生氏の語る「キモ」(要点)は日米共同の「指揮所演習」(CPX)である「キーン・エッジ」の想定が「中国人民解放軍による台湾侵攻対処作戦」の中で、沖縄本島、先島諸島における陸自と米軍(海兵隊)の共同作戦の内容である。恐らく海兵隊関係者からのリークであると思われるが、海兵隊は「EABO」(遠征前進基地作戦)という新しい作戦を行うため、「MLR」(海兵沿岸連隊)、「LCT」(沿岸戦闘チーム)を第1列島線(九州を起点に奄美諸島、沖縄本島、先島諸島、並びに台湾、フィリピン、ボルネオ島にいたるライン)のインサイド(中国側)に分散展開させ、島から島へと自由自在に機動することで台湾侵攻を図る人民解放軍を撃破するという。「果たして人民解放軍による台湾侵攻の最も危険なタイミングはいつか。注視すべきは来年の冬季オリンピック・パラリンピック(北京冬季五輪)の数か月後ー太平洋海兵隊関係者はそう語気強く言った」と麻生氏の論稿は結ばれている。
そして、7月13日の2021年版防衛白書の公表を挟んだ18日の読売新聞「あすへの考」は「台湾有事 本島侵攻の想定も」を取り上げた。同記事は「米国と中国の対立で、台湾情勢が緊迫している」とし、「中国は1990年代後半の台湾海峡危機の反省から海空軍力を増強し、西太平洋の軍事バランスが中国に有利な方向に移行してきたことが背景にある」と指摘、「台湾有事はどのようなシナリオが想定されるのか。危機を回避するために、国際社会はいかなる対策を講じる必要があるのか」という導入部から「台湾有事シナリオ」を詳述している。(つづく)
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