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2021-07-20 00:00
(連載1)朝鮮半島情勢、嵐の前の静けさか
岡本 裕明
海外事業経営者
朝鮮半島からのニュースはやや落ち着いているように見えます。嵐の前の静けさなのでしょうか。金正恩総書記が一部報道によれば10キロ以上痩せたのではないか、とされ、事実、むくんでいた感じがすっきりした感じに見えます。これを朝鮮中央テレビが「おやつれになった」と報じ、話題になりました。一方、朝鮮日報は「金正恩氏、側近に懇請されダイエットか」と報じ、真逆の解釈に戸惑うところですが、金総書記の立場は決して穏やかな状態ではないとみています。
一つは国内経済の疲弊と北朝鮮ウォンの急騰です。北朝鮮ウォンが急落なら話は分かりますが、急騰する理由はかの国の情勢を考えると一般的ではありません。上昇率はパンデミック以降、対米ドルで3割、対中国元で4割とされます。その背景を見るとどうやら闇貿易に対する規制とその貿易を介して得た外貨への罰則があるのではないか、とされ、貿易で外貨を取らない傾向が強く、その結果、北朝鮮ウォンが上昇したようです。その為、中国元が安くなり、国内での中国元建ての価格は大きく跳ね上がり、インフレ傾向が強まっているというものです。北朝鮮内では国内通貨ウォンの信任性が低く、中国元や米ドルによる取引となっているようで、通常自国通貨の上昇は国内物価の下落になるのですが、その逆になっているということでしょう。
自国通貨の信任が低く米ドルなど国際通貨が一般流通する状態はごく普通であり、国際収支が悪い国はえげつない外貨獲得手段を取っているところが多いものです。かつてはソ連でもルーブルの信任がなく、主要都市のドルショップに行けばモノが豊富にそろっているものの、ローカルのスーパーは配給券を持って行ってもほとんど商品はないという世界でした。北朝鮮の現状はそれに近いのだろうとみています。
そんな中、外交に関してはバイデン政権からの「前提条件なしの交渉」の呼びかけに「無意味な接触はない」と回答しています。北朝鮮としては今、アメリカと取引しても北朝鮮が勝利するような画期的な結果が得られるとは考えにくく、中途半端な折衷を強要されるなら、交渉する意味はないと考えている節があります。(つづく)
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