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2021-07-13 00:00
(連載1)イランの反米大統領当選で世界情勢は悪化する
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
先月のイランの大統領選挙において、日本ではほとんど注目されていないが、本来はホルムズ海峡を通る日本のタンカーのほとんどが影響する、つまり日本の石油やアルコールそのほか化学原料の90%に近い内容が通る海峡において、その沿岸国が日本やアメリカに対して対抗するか、それとも友好的な状況になるかということなので、日本にとってはかなり重要な選挙である。正直な話、韓国の大統領選挙よりも重要な選挙だといっても過言ではない。しかし、なぜか日本では五輪の話とコロナの話ばかりで、そのような重要な話はほとんど報道しない。
さて、イランの政治体制というのは、日本とは異なりちょっと複雑である。不敬で不謹慎な言い方になるが、あえて日本の政治体制を例にとって説明してみる。イランには日本の天皇に当たるところに、宗教的指導者「最高指導者(ラフバル)」という存在がある。イスラム教の場合、絶対神アラーがもっとも高位に位置する。その神の意向をそのまま受けることのできる「アリー」の代理人として、宗教的指導者がいる。ハメネイ師がそれに当たる。その宗教的指導者が、三権の長、つまり司法府(日本で言う最高裁判所のようなところ)長官、大統領、議会を任命、または罷免する権利を持つのである。基本的に宗教的指導者は「主権」を持っているというような解釈でよいのだが、唯一絶対神の代理人の権限というのは法学上の「主権」よりも強く、その意向は絶対的である。
軍も特徴的である。イランにはイラン国軍とイラン革命防衛隊という2つの軍事組織が並立し、どちらの組織の最高司令官も宗教的指導者が務める。が、前者は大統領の下にあり自衛行為以外は最高指導者との関係は間接的である。後者は「イスラム教の宗教全体の革命を訴える」責任を持つ国際組織であり、これは完全に最高指導者の下にある。いわゆるゴドス軍といわれるスパイ組織も宗教的指導者の直轄組織である。
まずは、護憲評議会というものがあり、そこで立候補者の資格審査がなされる。改革派や、キリスト教徒などが政府に入り込まないようにするためである。今回は5月11日~15日に立候補の届け出があり、26日~27日までに護憲評議会の審査によって立候補者は7人に絞られた。昨年のソレイマニ将軍の暗殺事件においても戦争にならないように国論を収めた人物、ロウハニ大統領は「選択肢(立候補者の多様性)を増やすように」と訴えたが、ハメネイ師が「(護憲評議会が)7人としたことを尊重する」とコメントを出したために、結局ロウハニ大統領が期待する選挙民に選択肢を与える候補者リストにはならなかった。(つづく)
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