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2021-06-29 00:00
(連載1)東京五輪があぶりだす政治力、行政力の劣化
中村 仁
元全国紙記者
東京五輪の開催まで1か月を切るというのに、新型コロナとの戦いに翻弄され、政治、行政のドタバタ劇が激しさを増しています。政治、行政の対応力の劣化を暴いてくれているのは、コロナの功績の一つです。コロナ戦争が一段落したら、政治、行政の総点検にとりかかるよう勧めます。デジタル庁や子ども庁創設のように、菅首相が得意とする点を単位とした思考ではなく、危機対応力を強化するグランドデザインが必要です。
古代五輪は、都市国家間の戦争があっても中止し、4年に1度、開きました。クーベルタン男爵が近代五輪として五輪の復活を提唱し、1896年に第一回(アテネ)が開催されました。「スポーツを通じて平和な世界の実現に寄与する」ことを目的に掲げました。新型コロナはウイルスですから、人類が交渉できる相手ではありません。東京招致に執着した安倍前首相は「延期」を選択せざるを得ず、後継の菅首相は「コロナとの戦いに勝った証」としての開催を約束しました。新型コロナ戦争は未だ戦争状態で、こればかりは、古代五輪のように「開催期間中は休戦」というわけにはいかない。苦戦が続く中で、無理を重ねた強行開催ですから、準備は迷走に次ぐ迷走です。いびつな形で開催するなら、止めたほうがよい。その決断ができない。クーベルタンの「スポーツを通じた平和の祭典」どころではない。「新しい形の五輪の模索を」とかいう論者も中身のない空論を振り回す。
あっけにとられたのは「会場の観客への酒類販売を認める」との方針です。抗議殺到ですぐ撤回です。飲食店での飲酒を午後7時までに制限しておきながら、「五輪会場は特別扱い」が通るはずはありません。丸川五輪担当相が「ステークホルダー(利害関係者)の存在がどうしてもある」と、アサヒビールとのスポンサー契約に縛られていることを示唆しました。この発言もすぐ撤回です。こんな分かりやすい案件に正しい判断を最初から、示せない。そこまで政治家、組織委の能力のレベルは劣化しているのでしょう。
千葉、埼玉、神奈川の知事らが「午後9時以降は無観客に制限してほしい」と、訴えました。観客数を「収容人数の50%以内で、上限1万人」に制限すれば解決すると思い込んだ組織員会の思慮不足が露呈しました。夜間の外出自粛を国民に求めている一方で、「五輪は例外とする」は通らない。そんなことにも、最初から正しい判断を示せない。(つづく)
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