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2021-06-22 00:00
(連載1)最低法人税率と中国包囲網
岡本 裕明
海外事業経営者
G7財務相会合で法人税の最低水準を15%とする方針を固めました。G7の国ではこの15%ルールに抵触するところは何処もなく、この方針の意図することは一部企業の税逃れ対策であります。また、オンラインビジネスが潮流となる中、本来課税できたはずの各種税金を取り損ねている可能性を排除し、企業の公平な税負担を強いるため、デジタル課税についても一定の合意がなされました。たとえば日本の方がオンラインでアメリカから直接商品を購入したとしたら今までは消費税を含め、税金を課すのが難しかったのですが、今後はそれを可能にするようです。
この動きは健全だと考えています。大企業が合法的に「節税」という名の合法的税逃れをしているのは当たり前の行為です。それら企業は会計士や弁護士、専門のコンサルタントに多額の費用を払い、各国の税の抜け穴を見つけ出し、課税額を最小限にするテクニックで税務当局を翻弄してきました。特にオンラインビジネスの急速な発展に対して税務当局の対応がまったく遅れてしまったことが大きな敗因だったと思います。
しかし、これは不公平な仕組みです。ごく一部の大企業のみがその巨額の売り上げや利益をベースに破格の報酬で専門家を雇うことで可能になるというのは本来公平であるべき税負担が歪められてきたともいえるのです。節税対策は誰にでも平等に与えられる権利であり、選択の自由であるべきものなのに特定の企業のみがそれを享受しているのはおかしな話です。
また特にやり玉に挙がっている法人税率12.5%のアイルランドや9%のハンガリーなどは特定目的のために歪んだ税率を適用します。もしもアイルランドやハンガリーが純粋に国内企業にだけ適用するならそれは自国内の問題かもしれませんが、多国籍企業の節税を取り込むためのいびつな税制度は許されるものではないでしょう。アイルランドは12.5%を維持すると反発していますが、たぶん、無力化されるはずです。仮に15%以下の税率適用を受けるなら多国籍企業の本来所属しているビジネス拠点国が差額税負担を強いるだけです。ルールを逸脱するものに当然のペナルティであり、アイルランドといった税回避目的の進出のメリットが薄まる見ています。(つづく)
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