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2021-06-11 00:00
(連載2)中国経済とどう向き合うか
岡本 裕明
海外事業経営者
この二人の意見を読む限りは、アメリカが中国に対する厳しい敵対姿勢から少し戦略の変更を試みているように見えます。他方、下院議長のナンシー・ペロシ氏は北京五輪について「外交ボイコットをせよ」と高々と声を上げています。ユニクロの一部商品が新疆ウィグル自治区の綿である可能性からアメリカに輸入できなくなっているのも、厳しい姿勢の一つです。この辺りの個別問題は引き続き出てくるのですが、影響力のある人たちの足並みがそろわないのも事実であります。
日本では経済団体が中国とのビジネス関係を重視していることから政治と経済が対中国の姿勢で温度差やばらつきがみられます。これは別に日本だけではなく、強硬姿勢を貫くオーストラリアでも経済界からは不満の声が上がっているのです。アメリカがどれだけ政治的に強硬な姿勢を取り続けていたとしても効果を示せなければ、アメリカの各産業界からの政策見直しのロビー活動が当然出てきやすくなります。
要はトランプ氏、およびバイデン氏の対中国強硬姿勢は今風に言えば「サステナブルではない」とも言えるわけで個別対応を余儀なくさせられる公算は否定できません。ただ、95歳のマハティール氏が言う日米豪印のクアッドを「古い戦略」だと感じるのは大戦時の三国同盟や戦後処理に関する一部国家主導による解決方針の決定といったイメージからだと思います。今回のクアッドはその当時とは考えを異にしているはずでそれを古い戦略と言ってしまえば地球上のあらゆる同盟、提携を否定することになってしまいます。これはピントがずれていると感じます。
中国は孔子の時代から中華思想が根付いています。天子を中心とした世界観を持ち、中心から離れるほど野蛮になると考えています。この思想は一種の宗教のようなものでそれを叩きつぶすというのは宗教戦争を仕掛けるぐらいのものになりかねません。よって膨張思想を抑え込むには繁栄を遅らせ、その間に周辺を固め、抑え込む戦略が理論的な考え方のように見えます。とすれば民主主義諸国は中国とのデカップリングを進めるべきであり、中国の孤立化政策を取り続け、その間に中国国内の世代交代と世論の変化を洗脳などを通じて促進させるといった手段が適合するはずです。中国外務省の報道官のコメントを見るたびに反論というより思想的言論に満ち溢れていると思っています。原理主義者の発言の様相すら感じることがあります。膨張を食い止めるには日本も耐え忍ばねばならないことも出てくるでしょう。ビジネスを考えるなら中国の周りにまだまだ市場開拓できる人口が豊富な国々はたくさんあります。確かに中国は経済的に発展してきているので日本としてはおいしいマーケットであることは事実ですが、長い目で見た中国との付き合い方はもう少ししっかり考えるべきでしょう。さもないと今の日本の力ではあっという間に吸い尽くされることになります。(おわり)
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