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2021-06-09 00:00
(連載2)二流の政治が経済でも日本を二流にする
中村 仁
元全国紙記者
先進国グループの代名詞である経済協力開発機構(OECD、36か国)に、日本が加盟したのは1964年です。「晴れて先進国の仲間入り」と胸を張りました。それから60年弱で、「後進国」ですか。「後進国」は今や死語ですから、「先進衰退国」とでも呼びますか。国民総生産(GDP)は5兆㌦強(19年)で世界第3位につけ、4位のドイツの3・8兆㌦をしのぎ、英仏伊より多く、十分に先進国です。問題は1人当たりGDPでみると、日本は3・8万㌦で25位です。韓国並みです。93年には2位だったことを思うと、ランキングの下落が激しい。
国際比較で実力を図るのは、ドルベースです。対ドル相場は、21年は106円で10年前は79円でした。国内では政府・日銀、経済界は円安歓迎です。喜んでいるうちに、ドルでみた国際的地位はどんどん下がる。分野別に拾えば、「後進国並み」に相当するデータはいくつもあります。GDP比で見た財政赤字は2・7倍で、財政状態は「後進国並み」です。
孫正義氏は19年に「この数年で日本は発展途上国になってしまった。AI分野では完全な後進国になっている。インドや東南アジアでは次々にAI起業家が生まれている。ここ数年で最も技術革新が進んだ分野で遅れている」と、警告しました。米国の社会経済学者のジェレミー・リフイン氏は「新しい産業革命」と称して「風力、太陽光発電への転換が進む。日本は遅れている」と、指摘しました。日本は「再生可能エネルギーは供給が不安定で、基幹エネルギーになり得ない」という類の主張がしきりです。それが技術革新によって「蓄電池に貯蔵することが可能になり、コストも安い」そうです。「洋上風力、気がつけば20年遅れ」(日経、5/24)という特集記事がありました。「海に囲まれ有望市場であるはずが思考停止で落とし穴に。政府の長期計画がなく、民間はリスクを取れなかった」と、専門家は嘆いています。「英国は北海油田産業を活用し、洋上風力大国になった」と。
コロナ危機の中でどう東京五輪を開催するかといった目先の問題に没頭する二流の政治、二流の人材しか使いこなせない二流の政治です。その転換が進まないと、いくつもの分野で「後進国」に転落していきます。(おわり)
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