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2021-05-25 00:00
(連載1)中国が得たRCEPでのアドバンテージ
倉西 雅子
政治学者
非公開、即ち、秘密裡での交渉を経て、国会での然したる議論もなく、国民から隠れるかのように批准手続きが進んでしまったRCEP協定。メディアでは、年内にも発効の見通しと報じられていますが、米中対立の最中にあっての対中接近を危惧する声が聞かれます。そして、その内容を見ましても、中国にアドバンテージを与える「不平等」条約を疑うのです。
政府をはじめメディアも、中国並びに韓国に対して無関税品目の大幅拡大を勝ち取ったかのように報じています。数字だけを見れば、中国の市場開放率は8%から86%へと飛躍的に上昇し、韓国にあっても19%から92%に大幅に拡大されています。日本国政府としては、国民に’勝利’を印象付けようとしているのですが、協定の内容をみますと、疑問に満ちているのです。
先ずもって怪しいのは、関税率の日中比較が示されていない点です。例えば、自動車部品分野にあって、日本国政府は、中国から87%の品目における関税撤廃を勝ち取ったとアピールしています。対象となるのは、電気自動車用の重要部品では、モーター、リチウムイオン蓄電池の電極・素材等であり、ガソリン車用の重要部品では、エンジン部品、カムシャフト、エンジン用ポンプ等などです。同関税撤廃に対しては、日本国の自動車部品業界からは早歓迎の声が上がっており(もっとも、即時撤廃はエンジンポンプの一部のみ…)、対中輸出の拡大が期待されているのですが、それでは、日本国政府は、これらの対象品目にあってどれ程の関税をかけているのでしょうか。
日本国は、工業製品についてはWTOベースでの関税率を無差別に中国に対しても適用していることでしょうから、無税、あるいは、極めて低率の関税をかけていると考えられます。実際に、日本国は、輸入電池についてはリチウム電池でも無税です(因みに、2013年のデータですが、中国のリチウム電池に対する輸入関税率は12%…)。(つづく)
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