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2021-05-19 00:00
(連載2)クリミア併合と台湾
緒方 林太郎
元衆議院議員
纏めると、クリミア併合に声を挙げる事に後ろ向きで、シリアのアレッポ空爆に対するG7の対応を崩し、日本の北方領土に対するポジションは後退させ、プーチン訪日時に3000億円の経済パッケージを提供、ここまでやって今眼前に何が残っているでしょうか。多分、「交渉への信頼醸成のための呼び水」として期待している共同経済活動くらいでしょう。しかし、検討されている共同経済活動なんてのは、私が20年前に国際法局条約課課長補佐だった時代に私のファイルの中にあったものと同じです。「簡単にやれるのであればとっくの昔にやっていたもの」です。法的立場を害さずにやるのが如何に難しいかが私には身に沁みています。
(北方領土交渉については、多くの政権が「俺ならやれる」と意気込んで着手します。そして、外務省は長年の苦い経験があるので色々と困難を指摘します。それが官邸幹部からすると鬱陶しいと思えてなりません。安倍政権でも官邸と外務省の間のすき間風の一つがこれでした。しかし、結果は上記の通りです。危険なんです、あの「俺ならやれる」感。)
ここまで対露関係について書きましたが、これらの事を中国はとてもよく注視しています。クリミア併合については欧米は制裁を発動しましたが、結局プーチン政権と決定的に悪くなってはいません。少なくともクリミア併合を見直そうという力は全く働いていません。ましてや、日本については北方領土交渉をネタに強請って、対露関係を悪化させるどころかむしろお土産(2016年経済パッケージ)まで付いてきた、と見ているでしょう。事実上の「(クリミア半島併合の)是認」に近いです。であれば、台湾への軍事侵攻の際も決定的に関係を悪化させる程の事はやらないように仕組む事は出来るのではないか、特に日本についてはやりやすそうだ、という思いを中国共産党指導層が持っていたとしても不思議ではありません。
国際社会では、ゲームの理論的に「相手がどう思っているか」、「相手は自分がどう思っていると思っているか」、「相手は、相手がどう思っていると自分が思っていると思っているか」といった認識の食い違いから紛争が生じていきます。そして、ある一点で原則を崩すと、そこから派生して、他でも原則を崩せると思わせるおそれが常にあります。対台湾政策で日本がどういう立場であるかという事を、中国側に誤解させている可能性が高いと私は思っています。(おわり)
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