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2021-05-15 00:00
(連載2)対日制裁を恐れず脱中国を
倉西 雅子
政治学者
中国は、自国市場を海外企業に全面的に開放しているわけではなく、部分的に緩和してはいても外資規制が残されていますし、ITを駆使した監視網も敷いています。中国の国策によって撤退を余儀なくされた海外企業もありますので、他の諸国の政府の脱中国政策について強く批判できるような立場にもありません。中国は、独立主権国家である他国に対して自らの通商政策を強要することはできないのです。
このように考えますと、中国の軍事的脅威に直接的に晒されている日本国政府は、率先して対中経済制裁に踏み出すべきなのですが、自国、並びに、自国民の安全よりも経済的な利益を優先する声も少なくありません。その根拠とされているのが、中国による対日制裁論です。日本国が対中制裁を行えば、中国が報復に出るから一線を越えるべきではないというのです。この説に従えば、日本国は中国に対して一切の制裁を行わないのですから中国市場の恩恵は受けるでしょうが、無抵抗のまま日本国が中華経済圏に飲み込まれかねません。ただでさえ中国市場が強い影響力を世界経済に与える今、RCEP協定が発効すれば、中華経済圏拡大の動きはなおのこと加速することでしょう。また、米中関係の冷却化により中国の米ドル準備が減少すれば、やがて人民元による決済が要求されるに至るかもしれません。そうなってからでは取り返しがつかないのではないでしょうか。
世界大に通商網が拡大した時代における経済制裁とは、諺で喩えれば「肉を切らせて骨を断つ」戦略です。自らが無傷で済むことなく、必ずや何らかの犠牲を払うことを覚悟しなければなりません。このため、ナポレオンの大陸封鎖令のように、産業革命の地でもあり、かつ、自前の自由貿易網を有するイギリス製品の国際競争力を前にして’逆封鎖’となる事例も歴史にはあります。
しかしながら、現在の中国製品は、かつてのイギリスほどの圧倒的な国際競争力を有するわけでもありませんし、中国との経済関係が消滅しても、自由主義国間で貿易を継続することができます。また、脱中国は、中国製品からの代替需要による内需活性化のチャンスともなりましょう。日本国が中国の影響下に置かれる将来が懸念されるからこそ、日本国は、中国から離れる覚悟を固めるべきではないかと思うのです。経済における脱中国は、対中抑止政策の第一歩なのですから。(おわり)
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