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2021-05-14 00:00
(連載1)対日制裁を恐れず脱中国を
倉西 雅子
政治学者
古今東西を問わず、戦争には’兵糧攻め’という手法がありました。相手国の拠点の兵站を断つことで、戦わずして降伏を迫るという戦法です。この古典的な戦法は、経済制裁という政策手段に衣替えして今日に至っています。そして、覇権主義的野望を露わにし、非人道的な行為を繰り返す中国を前に、目下、自由主義国を中心にして対中包囲網の構築が進んでいます。
対中経済制裁の主たる手段は、自国企業のサプライチェーンから中国を外す、中国による人権侵害に関わった個人に対して金融封鎖を課す、ウイグルで事業を営む企業に対して見直しを迫る、半導体を含め、軍事にあっても不可欠な技術や先端技術の対中流出を防ぐというものです。中国は、海外の企業から製造拠点を誘致し、安価で豊富な労働力と人民元安を梃とした輸出攻勢によって経済大国、否、軍事大国に伸し上がりましたので、その土台となる経済関係を断ってしまえば、戦わずして軍事的野心をも挫くことができると期待されているのです。
日本国にとりましても、国土を護り、国民の生命、身体、財産等を危険に晒すことなく、中国を追い込むことができるのですから、対中包囲網への参加は願ってもいない政策のはずです。日本自身が経験した先の大戦に思いを致せば、戦わずして収める事ができる経済制裁への参加が最も平和的な手段であると言えましょう。
もっとも、先の大戦については、真珠湾攻撃の経緯に鑑みれば経済制裁が中国を暴発させるとする反論もありましょう。しかしながら、現状にあって中国は既にイランという石油調達先を確保しています。また、中国は、再生エネや原子力発電をも拡大し、さらには未来エネルギーの開発にも着手していますので、エネルギーに関する資源封鎖は事実上、不可能です。言い換えますと、中国には、戦争に訴える程の口実はなく、今日の経済制裁とは、中国との経済関係を切り離してゆく’静かなる脱中国’であり、かつ、それは、主として自国企業の中国からの撤退、並びに、自国市場からの中国企業の排除の両面から成り立つデカップリング政策と言えましょう。(つづく)
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