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2021-04-21 00:00
(連載2)日本経済を襲うコロナ緩和マネー
倉西 雅子
政治学者
潤沢な投資資金を手にしたのですから、当然に、投資ファンドも勢いづき、海外への投資額を増やそうとすることでしょう。そして、そのターゲットとなるのは、コロナ禍のマイナス影響により経済が弱体化した国にあって、割安感が強まっている企業や事業であり、日本企業もその対象に含まれているものと推測されます。今般、相次ぐ海外ファンドによる日本企業の買収案件は、コロナ禍とそれに付随するコロナ緩和マネーに起因しているのかもしれないのです。
そして、投資ファンドが企業の事業再編をも手掛けている点を考慮しますと、事態はさらに深刻です。上述した日本産業パートナーズは、現在にあっては既に全株式を売却しているものの、みずほ証券を中心に設立された投資ファンドであり、主に日本企業を対象に事業再編、否、ソニーのパソコン部門をはじめ大手企業の一部事業を傘下に収めています。同ファンドにおけるベイン・アンド・カンパニーの出資率は不明なのですが、仮に、同社の影響力が強まるとしますと、同ファンドの事業対象も日本国内のみならず、‘グローバル市場’に拡大するかもしれません。
そして、イギリスの投資会社であるCVCに至っては、事業再編の対象が‘グローバル市場’であることは容易に想像されます。つまり、一旦、東芝がCVCの傘下に組み込まれれば、東芝は、同ファンドの’グローバルな事業再編’の目的に沿った役割を担わされることになった可能性も多分にあります。つまり、従来の経営組織や事業の継続は難しくなり、最悪の場合には、中国企業に売却される未来がありえたのです。CVCの背後には、’チャイナ・マネー’、あるいは、’チャイナ利権’が潜んでいるかもしれないのです。
日立金属を手放す一方で、1兆円を投じてアメリカのIT企業を買収する日立の方針については、将来性のある分野に事業を絞り込む’選択と集中’を評価する声もあります。しかしながら、海外に支城を広げた結果、本丸が落とされてしまう可能性も否定はできません。過去の事例を見ましても、日本企業による海外企業のM&Aについては失敗例も少なくないからです(東芝の躓きの原因が米ウェスティングハウス社の買収であるように、大枚をはたいて買収しても、最終的には重荷となったり、手放す展開にも…)。安全保障も絡むため、東芝を買収しようとすれば日本国政府の承認も必要となるそうですが、政府も企業も、そして国民も、長期的かつ多面的な視点から日本国の経済を護る手段を講じてゆくべきではないかと思うのです。ポスト・コロナ、あるいは、ウイズ・コロナの時代が、日本消滅の時代とならないように。(おわり)
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