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2021-04-08 00:00
反中感情は、日常の接触から
真田 幸光
大学教員
政治の論理と国民感情はしばしば異なることがあります。少なくとも、表面上で見ると、「違うなぁ」と感じることがあります。そうした例の一つが例えば、日韓関係にもあるのではないでしょうか?私の知る限り、「表面上」は、日本政府、そして、日本国民の中の私が良く接する人たちの韓国に対する意識は、好き嫌いというよりも、疑心暗鬼の中で、「警戒すべき」とするものが強いと感じます。永田町の一部には、「丁寧な無視」が必要であると仰る方もあり、私も正にその通りと考えています。しかし、一方で、大学生や若者たちの韓国に向ける目はもっとピュアに、「韓国人男性は優しい」「韓国人女性は綺麗だ」「韓国の芸能人は歌も踊りも上手だ」と言ったものをベースとして、「韓国はいい国ではないか」とする声が強いです。そして、やはり、私の知る限りでは、韓国側も、「昼は反日、夜は親日」即ち、表面上は、日本は嫌いである、警戒しなくてはならないと言うものの、実は、「日本のことを好きな韓国人」が意外に多く存在していると思います。こうしたことが、政治と国民感情の乖離があるかもしれないと私が感じる一つの事例です。
そこで、韓国の主要紙である「朝鮮日報」のコラムに掲載された記事をご紹介します。「昨年大学を卒業した社会人1年生から、青年らの間で広がっている反中感情について伝え聞いた。講義中も大声でしゃべる中国の学生らのせいでつらかったという。講義を聞きながら焼きのりをかじっている様子も見たという。新入生らは、先輩が伝授した『中国の学生が聴講する講座リスト』を、いいアイデアだとしてシェアした。その手の講座は避けようというわけだ。大学の近くに部屋を構えるときも、中国人がいたら引き返すという。60年代に生まれた今の50代、いわゆる『586世代』が大学へ通った80年代のキャンパスには、外国人は稀だった。反米・反日感情が大学街を支配したが、歴史認識から始まっただけであって、暮らしの中で実際に被害に遭ったことはない。そのせいか米国・日本をののしりはしても、両国の観光客を見かけたら親切にした。逆に、このところ20代の青年らの間で広がっている反中感情は、日常の接触を通して積もり積もったものという点で差がある。
2019年の時点で、韓国に留学している外国人大学生・大学院生はおよそ14万2,000人。このうち中国人は、全体の半数に当たるおよそ7万人だ。ソウル所在の大学で中国からの留学生が1,000人を超えるところは17校ある。在校生の1割は中国人という大学もある。若者たちの日常そのものが、中国人に悩まされることを避けようがない。ここに粒子状物質や黄砂の問題が重なった。西海の無法者である違法操業中国漁船の問題もある。防弾少年団など韓流スターを蔑視し、高句麗のみならず韓服やキムチまで自分たちのものだと言い張り、男が裸でハクサイを漬けるデリカシーの無い行いなどが、韓国の若者層の反中感情を刺激している。」
政治の面からは、「離米従中」と米国から離れ、中国本土に擦り寄っているのではないかと見られる韓国ではありますが、韓国の若人は必ずしも中国本土を慕ってはいない様が見られます。否、私見を申し上げれば、「韓国人は必ずしも中国人を好きではない。」そして、「中国人も韓国人を蔑視している」こうした構図がベースにあると見ている私には、合点のいく現地の声でありました。
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