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2021-03-23 00:00
(連載1)アフターコロナとゾンビ企業
大井 幸子
国際金融アナリスト
リーマンショック以降、主要先進国の中央銀行ではゼロ金利を継続中です。そして、昨年のコロナショックで、公的資金の注入が相次ぎ、政府の支援金が企業にも付与され、特に欧州では、この状況が長く続くと、「国が日本化する Japanification、企業がゾンビになる Zombification」という懸念が出てきています。一体「日本化=日本のようになる」と何が困るのでしょうか?日本は「課題先進国」と言われています。世界に先駆けての急速な少子高齢化といった課題もありますが、今話題になっているのは、日本のバブル破綻以降の「失われた30年」です。この30年に及ぶ日本経済の衰退ぶりを目の当たりにして、欧米の政官財のトップは「日本のようになってはヤバイ」と思い始めています。
オーストリア学派の経済者が集う「ミーゼス研究所」では、優れた日本経済分析を行っています。Gunther Schnabl & Taiki Murai共著(2月25日付記事)、”Japan’s Well-Fed Zombie Corporations”では、日本のケーススタディから「大規模な金融緩和と財政刺激策は短期的には経済を金融危機から救い出し安定化させるが、長期に続ければ、経済を麻痺させ、生産性を低下させ、成長を台無しにする」と結論づけています。「日本の失われた30年」をどう解釈するか、私なりに記事に沿ってポイントをまとめてみます。
日本の貯蓄残高は1991年には46.9兆円(GDPに対する貯蓄比率 15%)でした。が、2019年には14.4兆円(同比率 5%)と、7割も減少しました。これだけ国民の貯蓄が減ると投資も減少し、成長の原資が削がれます。しかも、2014年には消費税が5%から8%に引き上げられ、貯蓄比率は一瞬マイナスに転じました。ここに、政策の度重なる過ちが見て取れます。時系列で振り返ります。1997-8年に日本長期信用銀行、日本債券銀行、山一証券、三洋証券が破綻するなど、深刻な金融危機に見舞われます。バブル破綻以降しばらく蓄積されてきた不良債権がニッチもサッチも行かなくなります。当時の大蔵省は公的資金の導入がゴテゴテになったと批判されました。
1998年以降、賃金上昇は抑制され、実質賃金は下がり続けています。個人消費は増えず、いわゆるデフレ不況が深まっていきます。さらに2008年のリーマンショック、2011年3月11日の大震災と津波、福島原発事故が追い打ちをかけます。12年12月に民主党から自民党へ政権が移り、13年からのアベノミクスで少し明るさが見えてきたところで、消費税率の引上げが、14年と19年に2度も実施されました。これでは、個人消費が先細り、貯蓄を切り崩す人が増えていきます。日銀の金融緩和や財政支出の空回りが続きます。(つづく)
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